長沙和尚の山歩き 2/2話(出典:碧巌録第三十六則「長沙一日遊山」)

趙州和尚は、かつてこんなことを言いました。

ニワトリの鳴き声がしたと思って飛び起きてみたら、まだ真夜中だった。
ああ、まったく寝ぼけちまって。 何やってんだオレ・・・
気づいたらオレ、何も着ていないじゃん! 
シャツもパンツも着ていなくて、よく見るとなんか袈裟っぽい布切れがちょっとだけ身体に巻きついているだけだ。
せめてモモヒキだけでも穿こうとしたら、先が縫いつけてあって足が出せなくなっているじゃないか!
しかも、股間がくり抜かれていて、これじゃまる見えだ!・・・
そのうえ、なんか頭のうえに灰を満載したバケツが載せられている!
オレは世のため人のためになる人間になりたくて、必死に努力してきたのだ。
それがこんなアホタレに成り果てちまうとは、まったく予想外だったなぁ・・・

もしも貴方がこの境地に到ることができたなら、もはや貴方は無敵です。潜在能力を全開にして、思う存分大活躍することができるハズ。そしてそれができるようになった時、自分のいる部屋には窓がひとつもなく、出入り口もないということがわかるハズ。

雪竇(せっちょう)和尚はこの話をとりあげた後、こんなポエムを作りました。

チリひとつない、それがこの世界。
眼が開かない、そんなヤツはいない。
香りにひかれて行き、花が散って帰る。
やつれた鶴は、枯れ果てた木のてっぺんで羽ばたき、
とち狂った猿は、廃墟で遠吠えするばかり。
長沙和尚ったら、まったくもって果てしないんだから。
・・・って、ナニ言ってんだか!

さて、ここで読者のあなたに質問です。

途中までいい気持ちでポエムを作っていたというのに、雪竇和尚はなぜ、最後に我に返ってしまったのでしょうか? あたかも突如として夢から醒めたかのように。

・・・なんて言ってみたところで、雪竇和尚が結局のところグダグダなのは否めないところです。

え? 「そういうオマエならどうするのか?」ですって?

そうですね、私なら・・・ そんなもん穴を掘って深く埋めちまいますな。(笑)

<長沙和尚の山歩き 完>