火を渡る仏 2/3話(出典:碧巌録第九十六則「趙州三転語」)

趙州和尚はこう言ったっけ。

「金属製の仏像は炉を渡れない。木製の仏像は火を渡れない。泥でできた仏像は水を渡れない。」って。まさに、「泥でできた仏像は、水を渡ることができない」のだ。でも、そのおかげで神の光を充ちあふれさすことができたってわけだ。

また、「金属製の仏像は、炉を渡ることができない」のだ。

紫胡(しこ)和尚のところに人が訪ねてきた時のことを思い出すなぁ。あの和尚の寺の入り口にある立て札は大傑作だった。

そしてやっぱり、「木製の仏像は、火を渡ることができない」のだ。

思い出すなぁ、破竃堕(はそうだ)和尚のことを。ほとんどの人は、殴られて初めて自分の限界は自分で決めたものだったことに気づくんだよなぁ。」

ちなみに、紫胡(しこ)和尚の寺の入口の立て札には、次のようなことが書かれているのです。

「猛犬注意!
 上に噛みつかれれば頭を取られてしまう!
 中に噛みつかれれば体を取られてしまう!
 下に噛みつかれれば脚を取られてしまう!
 もたもたすれば即死まちがいなし!」

で、それでも入ってくる人を見つけたら、「犬を見ろっ!」と怒鳴りつけ、その人がビックリして振り向いた隙に部屋に戻ってしまうのが、彼のいつものやり方でした。
またある時のこと、深夜にトイレから紫胡和尚が「ドロボーだ! 捕まえろ!」と絶叫するのが聞こえてきたのでビックリした弟子が駆けつけたところ、真っ暗闇の中でいきなり和尚に胸ぐらをつかまれて、「やった! 捕まえたぞ!」と言われたとか。

で、弟子が慌てて「和尚! 違います!私ではありません!」と叫んだところ、和尚は「いや、そりゃそうなんだけど、あえて見逃すわけにはいかんな。」と言ったとか。

なんじゃこの坊主・・・ という感じですが、もし、これがどういうことなのか理解できるというのであれば、あなたは間違いなく、出会った人全てを噛み殺すことができることでしょう。
―――――つづく