お経のパワー 3/3話(出典:碧巌録第九十七則「金剛経軽賤」)

かつて、大珠(だいしゅ)和尚は言いました。

「空き部屋に、お経を大量に積み上げて置いてみるんだ! ほら、お経がミラクルパワーで光線を発しはじめたぞ! ・・・って、そんなことあるわけないだろ!」

水晶玉は真実をありのままに映し出す、といいます。中国人がくれば中国人が映りますし、インド人がくればインド人が映ります。

さてそれでは、誰も来なかったらどうなるでしょうか? 水晶玉は、映し出す対象を失った時、映し出す能力までも失うでしょうか?

魔王パーピーヤス(波旬)は、人々の様々な能力につけこんで活動する性質を持っているのですが、このような場合、魔王はつけいるスキが見つけられなくて困惑するに違いありません。

「能力」があらわれないと、どうなるのでしょうか?

神々が花びらをふりかけて祝福しようとしても、どこにいるのかわかりません。魔王がとりつこうにも、とりつきようがないのです。

洞山和尚は一生涯のほとんどを山から下りずに過ごした方ですが、その山の守護神は、和尚が自分の山に住んでいるらしいということはわかっても、全く探すことができませんでした。

ある日、山の神は一計を案じて、和尚が蓄えておいた米などの食糧を倉庫の前に全部ぶちまけました。

それを見た洞山和尚、思わず心を動かすと「な、なんじゃこりゃーっ!誰じゃ、こんなことをするのは!?」と叫びました。

その時、山の神の目に、初めて洞山和尚が出現し、やっと拝むことができたということです。

ある人が「究極の悟り」を求める気持ち(発心)を起こすと、その途端に魔王パーピーヤスの宮殿はグラグラと揺れ動くのだそうです。自分の住居が壊されてはたまらないので、魔王は必死になって有能な人を探しまわるというワケです。

雪竇和尚は、かつて自分の胸をドンと叩くと、こう言って大見得を切りました。

さぁどうだ! もはやこのオレ様に、魔王がつけいるスキはない。
ゴータマ(注:ブッダのこと)くん! ゴータマくん! キミはどうだい。オレ様がわかるかな?

・・・はっはっは!まるっきり「お見通し」ってわけだ!

さて、読者の貴方に質問です。いったい、誰が誰を「お見通し」なのでしょうか?

答えのわかった人、言ってみなさい。

<お経のパワー 完>