日日是好日 3/6話(出典:碧巌録第六則「雲門十五日」)

雲門和尚の住職デビュー祝いの挨拶にやってきた鞠常侍(きくじょうじ)との会話は以下のようなものだったそうです。

鞠:「霊樹の果実がようやくここに熟したというわけですね!」
雲:「熟しているとかいないとか、いったいいつの話をしているのだ!?」

ちなみに霊樹和尚は先に述べたような超常エピソードを持つエスパーでしたが、雲門和尚にそういう話はありません。

聞くところによると、霊樹和尚は神通力を持ったまま何度も生まれ変わることができたそうですが、雲門和尚は三回生まれ変わってようやく王になれるレベルだったので、そっち系の能力はなかったのだとか。

ある時、劉隠は夏期セミナーを開催すべく当時の有名な禅師を集めたことがあるのですが、他の禅師たちのところには大勢の人が教えを乞いに訪れて盛んに問答が行われたのにも関わらず、雲門和尚のところにだけは誰も近寄らず、ほとんど会話が行われなかったのだそうです。

それを見た劉隠は、「禅は不立文字が真骨頂だとは聞いていたが、まさか全く話さない雲門和尚に怒涛の弁舌がかなわないとはなぁ」と書いた紙を張り出したとか。

また、雲門和尚は弟子たちの質問に対して漢字一文字で答えるテクニックも編み出していました。
以下にいくつか例を挙げます。

弟:「両親をぶっ殺したら仏に懺悔するしかありませんが、その仏をぶっ殺したら、また、こうやって相談すべき師匠までぶっ殺してしまったとしたら、いったい誰に対して懺悔したらよいのでしょうか?」
雲:「露!」 ※訳者注:わかりきったことだ!の意か?

弟:「仏教って、結局なんのためにあるんですかね?」
雲:「普!」 ※訳者注:どこにだってあるさ!の意か?

・・・なんというか、会話にならなくて対応に困っちゃいますよね。(苦笑)

彼は万事がこの調子で、専門用語ではない極めて普通の日常語を使いつつ、言われた方は身動きが取れなくなるようなテクニックを駆使していました。

―――――つづく