ああ、提婆宗! 1/3話(出典:碧巌録第十三則「巴陵銀椀裏」)

ある坊さんが、巴陵(はりょう)和尚にたずねました。

ちょっといいですか? 提婆(だいば)のオッサンって、結局なにがやりたかったんですかね?

巴陵和尚は答えました。

まぁ、なんというか、銀のお椀に雪を盛りつけるような感じかな。

・・・さぁ皆さん、このシュールな問答の意味がわかるかな?

「提婆のオッサン」とは、他でもない、かの仏教第14代伝承者「ナーガルジュナ(龍樹)」の弟子で、第15代伝承者となった「デーヴァ(迦那提婆)尊者」のことです。
※訳者注:デーヴァ(ダイバ)には、梵語で「天」つまり「神」という意味があります。

多くの人はこの話を聞いて、「ああ、あれね。外道のやり方でしょ?」などと決めつけることでしょう。

そう、 提婆さんは確かに元「外道」でした。

しかも、むやみやたらと弁舌に長けた外道だったのです。
いうなれば「雄弁外道」とでもなりましょうか。

でも、その超絶的にアグレッシブな弁舌能力をナーガルジュナにおおいに買われ、持てる能力の全てを外道たちを打ち砕くために駆使するように転向したといういきさつがあるのです。

提婆さんはどのように外道と戦ったか?

例えばこんな話があります。

大昔、インドで議論をするためには、王の許可を受けてから大きな寺で鐘か太鼓を打ち鳴らす必要がありました。

つまり寺の鐘や太鼓が鳴らせなければ、議論してはならないということになっていたのです。

そこに目をつけた外道たちは、ある時、おもだった寺の鐘楼の門を全て封鎖してしまいました。

「売られたケンカは必ず買う」というのが 提婆さんの信条でしたので、彼はサイコキネシスを発揮すると、誰も入れるハズのない寺の鐘楼の上にある鐘をガンガン打ち鳴らしてみせました。

―――――つづく

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