維摩のオッサンと「絶対の境地」 5/5話(出典:碧巌録第八十二則「維摩不二法門」)

雪竇和尚は先に引用したポエムの「仮病など使って何やってんの!」と言っていますが、これは維摩のオッサンが主役を務める「維摩経」の冒頭部分で「世の中の連中が病的なアホばっかりだから、ワシは病気になったのじゃ!」と宣言していることを示しています。

維摩経の舞台は、当然にして維摩のオッサンが住んでいたインドの古代商業都市であるヴァイシャリーなのですが、西暦640年頃にインド担当の外交官だった王玄策がたまたまそこを通った際に維摩のオッサンの自宅跡を発見し、手にしていた笏(高位を示す手板)で寸法を測ってみたところ、タテヨコ10笏(※1笏は通常約1m)の正方形だったとか。(ちなみに、これが「方丈」という言葉の由来です)

彼は文殊菩薩が見舞いに来ることをテレパシーで察知して、予め部屋中のものを全部亜空間に叩き込んで空っぽにしたといいます。

で、「絶対の境地」を巡る問答の末、その究極的なところを文殊菩薩に尋ねられ、一言も発せず黙ったままだったというのですが、これを雪竇和尚「返答しなかったんだから「答えられなかった」ということでいいんじゃない?」というわかりやすい解釈で進めておきながら、いきなり「さぁ、維摩はなんと答えたか? 言ってみろ!」などとおっしゃる・・・

ここで読者の皆さまに質問です。

「金色のライオンを乗りこなすような文殊菩薩でさえ、うまいこと丸め込んじまった」といいますが、これは維摩が言葉を発しなかったために、文殊菩薩ともあろうものが、問答の相手である維摩のオッサンを見失ってしまったからです。

維摩のオッサンはいったいどこに行ったのでしょうか?
そして今、いったいどこにいるのでしょうか?

・・・まぁ、貴方の今のレベルでは、仮に山河大地や草木が全て金毛のライオンに変わったとしても到底彼を発見することはできないでしょうけどね。

<維摩のオッサンと「絶対の境地」 完>

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