鉄の牛 3/7話(出典:碧巌録第三十八則「風穴鉄牛機」)

若い頃の風穴和尚は南院和尚のところにも修行に行ったのですが、生意気盛りのヤング風穴和尚は、初対面だというのにろくに挨拶もしなかったとか。

院:「オマエ・・・ いったい何様のつもりなんだ?」
穴:「そんなことさえわからないようでは、とても師匠とは呼べませんね!」

それを聞いた南院和尚は、黙って左手で自分の膝を打ちました。
穴:「それがどうした!」

さらに南院和尚は、右手で自分の膝を打ちました。
穴:「だからそれがどうしたってんだ!!」

南院和尚は左手を挙げました。
院:「まぁ、これはオマエが好きにしたらいい。」

さらに右手を挙げました。
院:「で、こっちはどうするつもりだい?」
穴:「・・・なんだい、アンタやっぱりなんにもわかっちゃいないな!」

南院和尚は、ついに棒を握り締めました。
穴:「おっと! そんなものを取り出してどうするつもりだい?
妙なマネをしやがったら、その棒をひったくって返り討ちにしてやるからな!
その時になって「え? なんで!?」とか言っても遅いぜ!!」

南院和尚は棒を投げ捨てました。
院:「ふん! まだクチバシの黄色いひよっこにコケにされるとはな!」
穴:「和尚! それは托鉢に失敗して何も食べ物がないだけなのに「オレおなか空いてないし!」と負け惜しみを言うのと同じに聞こえますぜ!」

院:「・・・オマエ、ここに来たのは初めてじゃないな?」
穴:「何を言い出すんだい?」

院:「よくよく思い出してみなさい。」
穴:「だからオレに丸投げすんなって!」

院:「ふむ、まぁ座れよ。一杯やろう!」

 ―――――つづく

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