酒カス野郎 3/7話(出典:碧巌録第十一則「黄檗酒糟漢」)

ある時、黄檗和尚は仲良くしていた役人の裴さんに招かれて、彼が赴任していた宛陵の町を訪れました。

裴さんは喜び勇んで自分なりに頑張って考えたお経の解釈を黄檗和尚に見せたのですが、和尚はそれを受け取ると広げもせず座ったまま黙ってしまいました。

しばらく沈黙が続いた後、黄檗和尚は口を開き、「・・・わかるかい?」と言いました。

裴さんが「・・・いや、全くわかりません。」と答えると、黄檗和尚は「うむ、そうだろうとも。これでわかったと言われてもちょっと違うんだよな。もしもそれが紙に書けるということになっちまったら、我ら禅宗の立場はまるでなくなっちまう。」と。

これを聞いた裴さんは、感動して次のようなポエムを贈りました。

額に玉ある大男。彼こそ達磨の生まれ変わり。
黄檗山のふもとを流れる川を木の盃に乗って渡る。
八千人の高僧たちも彼に従うことでますますパワーアップ!
ああ、私を弟子にしてください!
貴方の法はいったい誰に受け継がれることになるのでしょうか?

黄檗和尚はそれを聞くと、少しも喜んだそぶりを見せずに言いました。

「海に果てがないように、心にもまた果てがない。この口は小さいが、ここからほとばしり出る言葉たちは紅蓮の炎の激しさで病魔を滅ぼす。折角はえている自由な腕二本、イケてる連中のために使いたいものだな。」

さて、自分の寺を持ってからの黄檗和尚の教導は、ビシビシと鋭いものでした。

弟子の一人に若き日の臨済和尚がいたのですが、彼がマジメに修行を続けて3年ほど経ったある日のこと、弟子たちのリーダーの睦州和尚から声をかけられました。

—–(以下、臨済録より一部抜粋)————-

睦:「おい、そこの若いの。お前ここに来てどれぐらいになる?」
臨:「はい、3年になります。」

睦:「和尚のところに問答に行ったか?」
臨:「いえ、まだです。というか、何を質問したらよいのか見当もつきません・・・」

睦:「そうか。じゃあいいことを教えてやろう。和尚のところに行ったらな、「仏の教えって、要するにどういうことですか?」と言ってみろ。」
臨:「はい! アドバイスありがとうございます! 早速行ってきます!」

―――――つづく

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