カモは飛んだか? 1/3話(出典:碧巌録第五十三則「馬大師野鴨子」)

馬大師が弟子の百丈くんを連れて歩いていると、カモの一群が飛び去るのが見えました。

馬:「おい、なんなんだ?」
百:「いや、あれはカモですね。」

馬:「どこへ行くんだろうな?」
百:「さぁ? ともかくもう飛んでいってしまいましたね。」

これを聞いた馬大師、百丈くんの鼻の頭をつかむと、思いっきりひねり上げました。

絶叫する百丈くんに、馬大師は言いました。

「こら、なぜ、まだ飛び去らないのだ?」

・・・さて、次の日、門下生たちが教室に集合しているところに馬大師がやってきました。

馬大師が講師席に座ろうとすると、百丈くんがいきなり飛び出してきて、座布団を取り外してしまいました。

馬大師はそれを見ると、そのまま黙って自分の部屋に引き返しながら、百丈くんに声をかけました。

馬:「ワシはまだ来たばかりで、まだ何も講義をしていないといのに、なぜそういうことをするのじゃ?」
百:「和尚! 昨日は鼻が痛かったですよ!」

馬:「昨日はどんな気持ちだったというのかな?」
百:「今日は、もう鼻は痛みません!」

馬:「うむ、よくわかったようじゃな。」

百丈くんは一礼して独身寮に戻ると、大声をあげて泣き始めました。

ルームメイトが心配してたずねます。

ル:「お、おい、どうしたんだ? 大丈夫か?」
百:「事情なら師匠に聞いてくれよ!(号泣)」

ルームメイトが言われたとおりに馬大師に事情を聞きにいくと、大師はこう答えました。

「事情? そんなもの本人から聞きなさい!」

ルームメイトが首をかしげながら独身寮に戻ってみると、百丈くんが大爆笑しています。

ル:「・・・おまえ、さっきはあんなに泣いていたくせに、今はなんで笑っているんだ?」
百:「ふふふ・・・オレはさっきまであんなに泣いていたが、今はこんなにも笑っているのさ!(爆笑)」

―――――つづく

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