原始神母 Pink Floyd trips ライブレポート 2018.11.23 クラブチッタ川崎

昨日11月23日、クラブチッタ川崎原始神母を観た。7回目である。何度でも観たいのである。それだけの圧倒的魅力がある。

ピンクフロイドが死ぬほど好きでもトリビュートには興味ないという人もいるだろう。わたしもそうだった。ピンクフロイドを30年以上聴いてきた。1988年、最後の来日公演は日本武道館で観た。2002年のロジャー・ウォーターズ来日公演は東京国際フォ-ラムに3日とも通った。フロイドの音楽はわたしの人生の一部になっている。それだけにツマラナイものは聴きたくない。マガイモノなど見たくない。
2012年、原始神母(当時はPink Floyd trips)が活動開始したとき噂はすぐ伝わってきたが、心が動かなかったのは上の理由だ。
2014年に東京キネマ倶楽部のライブに初めて行った。心変わりの理由ははっきりしていて、公式ページでライブ動画を観たからだ。1988年にも2002年にも聴きたくて聴けなかった Echoes や Atom Heart Mother がそこにあった。生でなくても凄さは充分に伝わった。ただちにチケットを予約し、参戦し、以後毎年ということになった。今やもう「これを楽しみに生きていこう」というレベルである(笑)。

だからもし、6年前のわたしのような人がいたら、原始神母は観るしかない。公式サイトを見ればわかる。動画が惜しみなくアップされている。これを見て、今日これから川崎に行こう。当日券がまだ若干あるらしい。17時半開演。急げ!人生を変えろ!

原始神母最大の特長はもちろん「まさにピンクフロイド!」というショーを見せてくれることだが、もう一つ特筆すべきは毎回新しいアイデアを入れてくることだ。今回も7回目にも関わらず、まったく飽きるところがなかった。セットリストは下記の通り。

<第一部>

Echoes
One of These Days

Set the Controls for the Heart of the Sun
Julia Dream
Corporal Clegg
See-Saw
Let There Be More Light 

Time
The Great Gig in the Sky
Shine on You Crazy Diamond

<第二部>

Cluster one
What Do You Want From Me
Keep Talkig
High Hopes

Wish You Were Here
Sheep
Another Brick in the Wall Part II
Atom Heart Mother

<アンコール>

Money
Us and Them
Any Colour You Like
Brain Damage
Eclipse

Echoes で始まったのには驚いた。いきなりこれか! 1曲でお腹いっぱいになるような曲を最初に持ってくるとかフザケている。フザケすぎて最高である。さすがに長尺の全部はやらず、同アルバムからの人気曲 One of These Days につなげる。

続いて今年の趣向第一弾、発売から50年となるアルバム「A Saucerful of Secrets(神秘)」特集コーナー。Julia Dream にはかなり意表をつかれた。「神秘」収録ではないが同時期のシングル曲。ここまで抒情的な曲はピンクフロイドには少ない。Let There Be More Light は逆にいかにも当時のフロイドらしいナンバーで、初めて生で聴く喜びに痺れた。

Time からは誰もが知っている名曲を連打。木暮”shake”武彦さんのギターソロに酔い、ラブリーレイナ&冨田麗香さんのスキャットに打ちのめされ、Shine on You Crazy Diamond ではケネス・アンドリューが歌う歌詞にも胸を突かれる。

ここまでで1時間半くらい、すでに鋼鉄の風に乗って世界一周してきたくらい感情がゆさぶられているのに、まだ半分なのである。15分の休憩をはさみ、後半が始まる。

今年の趣向第二弾は「The Division Bell(対)」特集。ねらいは第一弾の「神秘」との対比である。若き4人のメンバーが自分たちの音楽を模索していた初期から、黄金期を経て、ロジャーが抜け、それでもデヴィッド・ギルモアが続けたフロイドサウンドの完成形をここに見るとシャケさんは言う。最初と最後を見てみようという発想が面白い。

原始神母がロジャー・ウォーターズ脱退後のナンバーを取り上げるのは初めてだから、Cluster one から High Hopes まですべて原始神母的には新曲。効果音の多い凝ったサウンドを見事に再現する。このパートに限ったことでないが、三国義貴さんと大久保治信さんのダブルキーボードは凄まじい表現の幅を持っている。

Wish You Were Here からは代表曲でたたみかける。絶頂期のアルバム「Wish You Were Here」「Animals」「The Wall」から1曲ずつ、観客のボルテージも上がりきったところで、このバンドに欠かせない Atom Heart Mother の登場だ。
もうどうしようもない。オーケストラ&合唱団つきのスタジオ版に勝るとも劣らないスケール感だ。ステージに何かが降りてきているのを感じる。それは4人のPINK FLOYD の魂だ。そうとしか思えない。

音と光の洪水とともに、第二部が終了する。
恍惚感に浸り息も絶え絶えなわたしは拍手しながらアンコールを待つ。長かった気がするが正確なところはわからない。麻痺している。そこに響くはレジスターの音。お?

過去に体験した6回の原始神母ライブでは大ラスは常に The Nile Song であった。その前はComfortably numb であったり、Another Brick in the Wall であったりした。レジスターは言わずと知れた Money である。今日は Money から The Nile Song に行くのか?と思ったら違った。まったく別のパターンであった。

「The Dark Side of The Moon(狂気)」のB面完奏だ。このアルバムが一番好きな人は多いだろう。なかでもこのB面組曲のすべてが渦巻くような凝縮感はロック史の中でも唯一無二と言っていいのではないか。
本家同様、原始神母のライブでもライティングは極めて重要な位置を占めている。音と同期して流れ、踊り、歌い、爆発する。
視覚と聴覚が渾然とした奔流の中わずかに残った正気にロジャー・ウォーターズの詞が語りかけてくる。「陽の光の下すべては調和を保っている。しかし今、月の影が太陽を覆っていく」

2018年の原始神母ツアーは川崎2Daysで幕を下ろす。終演後のあいさつで木暮(シャケ)武彦さんは言っていた。「来年はウマグマ50周年」
扇田裕太郎さんは言っていた。「来年はウォール40周年」
毎年毎年何かある(笑)。
そしてわたしは気づいてしまった。再来年2020年は原始神母のバンド名の由来となった「Atom Heart mother(原子心母)」50周年ではないか!

来年も再来年も観に行くことが決定してしまったよ。

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