7. Veronica / Elvis Costello(ヴェロニカ / エルビス・コステロ)

エルビス・コステロが1989年に発表したアルバム「スパイク」の中の収録曲。

彼はパンク系ミュージシャンとしてデビューした後、バンド活動やソロ活動、オーケストラとの共演など、多彩な活動を繰り返しながら表現の幅を広げてきました。ポール・マッカートニーと共演したこともあり、今回ご紹介の「ヴェロニカ」も彼との共作です。ポールらしさが加わった明るく軽快なテンポのロックナンバーで、一時期、朝の某情報番組のオープニングテーマ曲にも使われていましたが、歌詞の内容はそのイメージからは遠くかけ離れていて、アルツハイマー型認知症になった老婦のことが歌われています。

「君の小さくて可愛い頭の中の暗闇では何が起こっているのかい」と、かつての生き生きとしたヴェロニカを知っている男の視点から彼女の老い衰えていく様が語られる形で曲は進み、途中、若き日の彼女の奔放な恋の話も語られます。今では自分の名前さえ忘れたのではないかと思われるくらい老いてしまった彼女のことを歌った曲は次のような一節で終わります。

「しかし、かつては彼女にも自由で奔放な心があり/瞳には悪魔のような輝きがあったんだよ/何とでもお好きなように呼んでいいわよ/でも私の名前はヴェロニカだからね/とでも言いたげな」

話しかけても何も反応しなくなった自分の祖母が、時に「恐ろしくなるほど清明な瞬間があった」ことがこの曲の発想の素になったと、コステロは語っています。こういう歌詞だと知ってからは、この曲の明るい調子が私の涙腺を刺激して困ってしまいます。

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