8. いのちとり

じゃあさ、最後にひとつだけ
好きなことやらせてやるよ。
そう死神は言いました。
真っ黒な布を頭からすっぽり纏っていて、
真っ白な髑髏だけがボウッと光っている。
例の大きな鎌は持っていない。
じゃあどうやって殺すのかな。
好きなこと…死ぬ前にやりたいこと…
とっさにそんなの出て来ません。
ならばせめて死ぬのが怖くないよう
酒をたらふく飲んで泥酔したい。
そう死神に伝えました。
果たして
酔いから覚めて気が付いたときには
ぼくは既に死んでいました。
霊体的なものになったぼくの足下に
真っ青なぼくの身体が転がっています。
死因は急性アルコール中毒だよ。
死神がニヤニヤしながら言いました。
好きなことが命取りになった格好です。
なかなか粋な殺し方をするもんだと
変に死神に感心しながら、
ぼくはボウッと光る髑髏の中へ
吸い込まれて行ったのです。

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