暴風雨への漂流

このお話は前回の続きになっています。前回のお話はこちらです。

おかえりなさいませ暴風雨へ
ホテル暴風雨海中顧問、女王ダコのクラーラさんのお茶目なひとりごと。チヨさんとのライバル関係……はさておき、人間のお友達ができたようです。

クラーラ

チャオ〜!みなさま♪

ホテル暴風雨の海中顧問、クラーラよ。
今回は前回に引き続き、アルバート様のお話をじっくり伺おうと思っていますよ。

クラーラ:「アルバート様、わたくしの出現を予測していたってそれ、どういうことなの?」

アルバート:「先日まで、私はこのホテルに来たいと願いながらもどこにあるのかわからず、噂に聞くままあちこち移りながら探していました。そのうち、変わったホテルがあるという島にたどり着きました。しかしそこにあったのは別のホテルで」

クラーラ:「そうねえ、闇雲にここを探し当てるのは難しいでしょうねえ。それ、どの辺の島かしら?」

暴風雨への漂流1illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

暴風雨への漂流1illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

アルバート:「すみません、かなり気落ちして旅を続けることを諦めかけていた頃ですので、よく思い出せないのです。そこにあったのは確かに変わったホテルで、変わった理由で旅をしている、変わり者たちの定宿のようでした。どうにか気を取り直し、せっかくなので情報収集をしようと、ホテルのバーへ行ってみたのです。

「しかしそこでは1人のお年寄りが酔っ払っていまして、その方がとんでもない話ばかりするものですから、さすがの変わり者揃いのお客たちもあまり相手にはしておらず、相槌くらいは打っていた人たちも、だんだん潮が引くように遠のいて引き上げようかというところでした。

「何しろ、伝説上の海の怪物『クラーケン』を見たことがある、今から探しに行くところだ、なんて言っているのです」

クラーラ:「あら」

暴風雨への漂流2illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

暴風雨への漂流2illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

アルバート:「何でも、船員をしていた若い頃、船が沈んでただ1人生還したことがあるそうなんです。その時に船を沈めたクラーケンを見たのみならず、会話をしたなどと言うのです。もう一度クラーケンを見つけ出して対決するために旅をしていると。

「まともに取り合う人などいない中、1人だけ話を信じると言い出した人がいました。自然の写真を撮っている写真家だという女性だったのですが、その方の言うことも何といいますか、かなり支離滅裂でして……」

暴風雨への漂流3illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

暴風雨への漂流3illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

写真家:「おじさん、あたし、その話信じるよ。いるよね、海には巨大なタコとか首長竜とか、不思議なのがいくらでも!あ〜、でもあたし、シャッターチャンスはいっつも逃しちゃうんだけど」

老人:「おお、あんたも見たかいクラーケンを。あれは恐ろしい怪物じゃろう」

写真家:「今度見た時こそ写真撮りたいんだけどさあ、でも、他にも面白い生き物いっぱいいるし、会えたからまあいっかって思っちゃうとこが、ダメなんだなあ、あたしは」

老人:「そこの若い人、ホテルを探しているって?クラーケンのいた辺りの島に、いい宿があるぞ。ワシはこれから行くところだからよければ案内しよう。冒険家ばかりが集まる宿じゃ。夢とロマンなのじゃ!」

写真家:「あたしもいいところ知ってるよ。どんな変なお客にも便宜をはかってくれるし、妙に居心地いいんだ〜。えーと、『ホテル暴風雨』だっけ、探してるの?あたしの知ってるところはね、えーと、えーと、名前なんだっけ?忘れちゃったなあ〜。えっ、場所?うーんとね、いつも適当に行くと着くんだけど、どこって言ったらいいんだろう。今回は泊まらないんだけど、多分途中で通るよ。一緒に行く?」

アルバート:「もう慎重になっていても仕方がないと思いまして、その時、私はこの二人のどちらかについて行こうと決めたんです」

クラーラ:「いずれ劣らず怪しげで頼りにならなそうな人たちね。アルバート様、本当に勇気がおありになること」

さて、アルバートさんはどちらの道を選んだのでしょうか?このお話はまだ続きます。


ホテル暴風雨ではみなさまからのお便りをお待ちしております!

「ホテル暴風雨の日々」続きをお楽しみに!暴風雨ロゴ黒*背景白


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