略語とBBクリームとヒートテック的なやつ

これは何でしょう? 正解:見ないで描いたブリジット・バルドー

スターとは

突然わけのわからない絵を出して失礼。もう一度説明すると「見ないでてきとうに描いたブリジット・バルドー」だ。せめてもう少しうまく描きたいと、写真を見て描き直したが、やればやるほど似ていなくなる上に化け物じみてきたのでやめた。

パッと浮かぶイメージは大事だ。というより、イメージと実像を同時に見た時にとんでもない相互作用をする存在こそが偉大な偶像、スターというものではないでしょうか。ちなみにこの話は以下の本題とはまったく関係ない。

謎の略語が多い話 例)httpとは何だ?

すごく馴染みがあるが厳密に何を意味しているかわからない略語というのがある。誰にでもあるのではないか。知ってるけどわからない略語ランキングにランクインしそうなものといったら、「http」などがかたいだろう。ブラウザであれこれ見ようという時にアドレスバーの先頭にある文字列で、Hyper Text Transfer Protocol の略だそうだ。ハイパーテキストトランスファープロトコル。ハイパーテキストとは、ホームページなどでお馴染み、文字列をクリックすると他の文書に飛んだりする仕組みを持つ文書で、「書類を順番に綴じる」だけの場合より、関連部分同士を組織的に結び付けられるのが画期的なアレだ。つまりhttpとは、「超文書転送規定」みたいなことだ。
日本語においてカタカナや横文字表記が多すぎると苦言を呈するという定番の芸風を崩さない人も数多いが、私は「こんなの面倒だから横文字にしておけばいい」と思う。超文書転送規定と言いなおす利点が感じられない。画数も文字数も増えて非効率である。だいたいが、横文字でしか表しようもない言葉というのは概念として新しいということで、新しいものは大して定着せずに去っていくことも多い。いちいち訳語をつけていたら、脳やコンピューターの「一時格納庫」の容量を倍食うことになる。いわゆる和製英語などは別として、科学技術分野の専門用語などは特に、外国語の文書を読むときそのまま理解できるのも便利だ。すぐに去って行くと思われた変な流行り言葉が意外と何十年も定着する場合もあるが、そういうものに横文字のまま妙な年季がつくのも、改めて訳語を与えられて言い直されるのも味わいである。
さて、httpなどのIT用語はとりわけ横文字が多い印象があり、ぼんやり予想くらいはしているが何のことかわからない言葉が多くて当たり前という気がする。具体的な物よりは概念を指しているケースや、従来のものとは違うと言っているが素人目には違いがわからないものも多いからだ。そしてこのジャンルは移り変わりがどこよりも速い。いきおい、何を略したのかわからない略語も増える。

ついにヴェールを脱いだ(脱がせた)「BBクリーム」と、あの人気肌着への提言

しかし、目にも見え、手でも触れられる日常にそういう謎が転がっていると、モヤモヤ度は一気に高くなる。そして私には、10年以上モヤモヤしたまま済ませてきたものがある、正確には、あったのだ。どんなものなのかもわからなければ、何を略した言葉なのかもわからない謎アイテム、それが、何を隠そう「BBクリーム」というやつだ。
「そんなことも知らないのか」と驚く人と「何だそれは聞いたこともないぞ」という人が48%ずつくらいいるのではないか。前者と後者を分けるのは、「化粧」に興味、関心、縁があるかないかという点だ。そして残りの4%が、「ああそれ私も知りたい」という人だろうと推察する(私の脳内妄想調査による)
何しろもう随分前から、BBクリームというのが、化粧品を扱う店の店頭にたくさん並んでいるのだ。置いてある場所からして、水仕事の前後に手に塗ったり、寝る前に顔に塗ったりするクリームではない。基礎化粧ではなくメイクアップのほうの「化粧」用クリームのようだ。しかし化粧下地なのか、ファンデーションの仲間なのか、そうだとしたらクリームファンデーションとどこが違うのか、さっぱりわからないまま看過してきた。
私は日常的にそれほどきちんと化粧をしないし、肌が弱いので化粧品を滅多に変えないという理由も大きかったのだが、ここ数年肌の調子が常時悪く、愛用の化粧品をしばらくやめたり再開したりと実験した結果、いくつかの症状が化粧品が原因と推定された。その後、特に日焼け止めクリームは新規開拓と失敗を繰り返している。そんな危機にあっても、訳の略語を冠したクリームに手を出す進取の気に欠けることこの上なかったのだが、ある日、通りすがりの若者たちが「BBクリーム」の噂をするのを聞いてしまった。
「BBクリームとか使ってるのってみんなババアだろ、ババアクリームだろあれ」
という噂だ。
ババアクリーム、略してBBクリームとはとんちが効いている。これまで「BBクリーム?何だそれは、クリームひとつでブリジット・バルドーを目指すとは神経の太いことだ」と鼻白んで手に取らなかった一面が無きにしも非ずの私も、ババアとあっては聞き逃せない。ババア上等。むしろ大好きだ。
噂をしていた若者たちだが、今後私の主観的印象と彼らの人生の相関はゼロと思われるので敢えて見た目で決めつけるが、化粧や化粧品の種類について私よりも詳しい理由が何一つなさそうな面々であった。ただ「ババアクリーム」と口に出してみたいといった風情だ。だがこれは、そんな見識の狭くて浅そうな若僧どもの間にまで「BBクリームがババアに大人気」と知られていることも意味する。ただ事ではない。自分の無知と迂闊さこそを恥じるべきだ。
ババアがこぞって使っているならばそれはよほどいいものなんだろう。
思い出してもみて欲しい。今では「寒いからヒートテック着てこう」などと万民にカジュアルに愛されている薄型の肌着であるが、その昔は「ババシャツ」などと呼ばれ、ババア様以外の下々の者がやすやすと手を出せるような品ではなかったではないか。ババア様の威光とありがたみとは、少し遅れて世界を照らすのである。
がぜん興味を持った私はBBクリームを物色しに行った。手にとって説明書きを見ると、保湿クリーム、美容液、日焼け止め、化粧下地、ファンデーションすべての機能が一つになった、などと書いてある。何だそれは魔法なのか。しかも多種多様な魔法が売られている。たいていの品はすごくしっとりこってりしているが、その質感から想像するほど厚塗りにはならず、確かにいいものかもしれない。私は手の甲や手首などに色々塗ってみて半日ほど観察することにした。
張り切って塗ったので、今私の手はBBどころかBBBBBBBBB(バババババババア〜)という感じになっている。壮観だ。
さて、家に帰って、今までBBクリームへの興味すら匂わせなかったくせに、今更グーグルさんに聞いてみた。

BBクリームとは、blemish balm、blemish base、あるいはbeblesh balmを(”blemish”に関する著作権上の理由から)省略したもので、主に東アジアや東南アジアで販売されている化粧品である。欧米でも大手化粧品ブランド各社がマーケティングを行っている。欧米ではbeauty balm(ビューティ・バーム)と呼ばれる。

(Wikipediaより引用)

ババアではなかったことより、「BB」が一義でないことに驚いた。そんなのは、映画のタイトルやアーティスト名とかだけの話かと思っていた。私が言っているのは「TMネットワーク」のTMは「タイムマシン」だとも「多摩」だとも言われているとかそういう類のことだ。さすがババア様である。違うけど。
BBクリームもまた、訳語などつけずにそのままでいい気がする。それより、洋服の下に防寒のために着る薄手の肌着のことだ。「ヒートテック」は商品名だということで「ヒートテック的なやつ」など称されたりする。「ヒートテックに代表される薄くて暖かい肌着」を略して「ヒートテック的なやつ」なのかもしれないが、商品名が隠れていない上、長いので、言葉としてどうかと思う。あれこそ「ババシャツ」でよくないだろうか。横文字がよければ「BB-shirts」とかで。

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