将棋ストーリー「王の腹から銀を打て」第24回

ノートには「手合い割り表」と書いてある。

1級差 先 
2級差 香落ち 
3級差 角落ち 
4級差 飛車落ち 
5級差 飛車香落ち 
6級差 二枚落ち

手合い割りとは将棋のハンディ戦のことだ。力の差に応じて強い方がいくつかコマを減らして戦う。コマを減らすことをコマを落とすと言い、ハンディ戦のことをコマ落ちと言う。シュウイチがトモアキたちと指した二枚落ちはその一種だ。

「ぼくがジュンと指すときはぼくが先手で、カズオくんとならカズオくんの香落ちか」
と、トモアキ。
「佐野とは、一二三、ええと、飛車落ち。トオルとは角落ちか。ふうん」
と、ジュン。

「コマ落ちでハンディをつけられるのも将棋のいいところなんだよ。これなら強い人と弱い人もちょうどいい勝負ができる。接戦になる。接戦の方がおもしろいし、実力アップにも役立つんだ」
「でもカントク、大会は平手だよ」
ジュンが不満そうに言った。平手というのはコマ落ちに対してハンディのないふつうの対局のことだ。

「将棋にカントクはいないよ」
とシュウイチは笑いながら答えた。
「そう、確かに大会は平手だね。だから平手を指しなれておくことも大切だ。どんどん指せばいいよ。ぼくが言ってるのは、昇級がかかってる公式戦は手合い割りでやるってことだ。公式戦以外で平手を指すのはぜんぜんかまわない。コマ落ちも平手も両方やって、大会が近づいたら、平手を多くする――それでどうかな?」
それなら異論はない。
「ノートはきみたちのだれかが持ってればいいよ。学校や公民館にも持っていけばいいんだ」
なるほど、そうすればクラブや同好会でも公式戦ができる。

いつも将棋の練習に出られる人ということで、公式戦ノートはアサ子が持つことになった。トモアキでもよかったが、アサ子なら万一休んでもトオルがかわりに持ってこられる。

こうして、公式戦が始まった。

――――続く

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