絵本作家になる方法 公募の絵本コンペ(コンテスト)その1

絵本作家になりたいという人から相談を受けることがある。ケースバイケースだし、たいしたアドバイスは出来ないのだが、これくらいは知っておいた方がいいだろうと思うことはいくつかある。今日から何回かそんな話を。

絵本作家になるには大きく二つの道がある。コンペと持込みだ。それぞれ長所短所がある。コンペ最大の長所は度胸がいらないこと(笑)。なんのツテもない編集部に持込みの電話をかけるのはけっこう緊張するものだ。ぼくだって、絵本の文章だけを書いているから完成品で応募できない、という事情がなければ、持込みでなくコンペを狙ったと思う。

検索してもらえばわかる通り、公募の絵本コンペは多数ある。性質もさまざまでどれにチャレンジするか迷ってしまうだろうが、プロの作家を目指しているなら狙うべきは出版社主催のコンペである。
自治体や一般企業主催のコンペもあるし受賞作を出版してくれるところもあるが、はっきり言えばそこまでで、アフターフォローはない。彼らは出版を仕事にしているわけではないからだ。
出版社は全然違う。出版社は今後自社で活躍してくれる作家を育てたいから賞を主催している。だから受賞作だけでなく次回作の相談にも乗ってくれるし、佳作や最終選考どまりだった応募者にも見どころがあると思えば声をかけることがある。

しかしながら出版社がやっている絵本コンペは案外少ないのが現実だ。
老舗の講談社絵本新人賞、小学館のおひさま大賞、MOE創作絵本グランプリあたりが代表的なところだろうか。

たぶん絵本コンペを主催するのはけっこう重労働なのだ。以前福音館書店が「こどものとも」50周年を記念して絵本作品を募集したことがあった。毎年開催でなく1回きりだったこともあり約4000作が集まったという。選考に当たった編集部の人からどれほど大変だったか、日常業務が滞ったか、聞かされたものだ(笑)。
4000は極端だが数百は集まるのが普通だから、やはりそれをしっかり読み評価するのは相当な仕事で、小規模なところが多い児童書専門出版社には負担なのだろう。

個人的におすすめのコンペをいくつか挙げてみる。

講談社絵本新人賞
今年で39回目になる、おそらく最も長く続いている絵本新人賞。続いているところは基本的に信用できる。数回でやめてしまうようなところはその程度の熱意しかなかったということだ。
あきやまただしさん、かがくいひろしさん、シゲタサヤカさん、やぎたみこさん、活躍している受賞者は枚挙に暇なし。
選考の途中経過が発表になるのもいいところ。自作がどこまで行ったかは応募者なら当然気になるものだ。何回も応募し、2次通過から最終選考通過、ついに受賞というステップアップ・パターンが多い。

おひさま大賞
今年で23回目、小学館の雑誌「おひさま」主催の賞。「おひさま」で活躍する作家を求めるという趣旨が非常にはっきりしている賞。だから絵本系には珍しく縦書き必須だし、8ページ以内の短い作品を募集している。絵本と言えば24ページか32ページが普通だから非常に特徴的で、ということはこれを目指して描いた作品は落選しても他には応募できない。「おひさま」を読んで、ぜひこの雑誌で書きたい(描きたい)という思いでチャレンジすべき賞だろう。
以前は童話部門と絵本部門があったが、いまは文章のみの応募はできない。
出身作家に、おくはらゆめさん、江川智穂さん、やまちかずひろさんなどがいる。

ピンポイント絵本コンペ
青山骨董通りにあるピンポイントギャラリーは絵本作家の展覧会が多いことでも知られている。ギャラリー主催の絵本コンペは珍しく、いくつか特徴がある。
絵本賞の審査員は一般に絵本作家が多いが、この賞では編集者の方が多い。作家と編集者は視点が違うから他の賞とは違う作品が選ばれる可能性がある。
ギャラリー主催だけあって受賞の賞品が展覧会開催である。そしてこの受賞記念展には多くの絵本編集者が訪れるから、出版社主催ではないが出版につながるコンペといえる。
出身作家に、にしはらみのりさん、加藤休ミさん、くせさなえさん、などがいる。

絵本のテキスト大賞
日本児童文学者協会と童心社が共催する賞。10回目。
際立った特徴は文章のみで応募すること。でも童話コンペではない。あくまで絵本にするために書いた文章であることが条件。
じつは絵本のための文章と、童話のための文章の違いは難しい。これがわかる人はすでに相当絵本ができる人と言っていいくらいだ。だからたぶん応募作の多くは、絵本テキストになりきっていない、絵本かな?童話かな?くらいの作品ではないかと想像している。
応募要項にある「展開を考えて場面割りをしてください」は短いがとても重要な言葉だ。これとしっかり向き合わなければ1次選考も通過できないだろう。
絵本を作りたいが絵は描けないという人は多いから、こういう賞があるのは意義深い。ぼくが作り始めたころあったら、きっと応募していたと思う。
出身作家に、清水真裕さん、昼田弥子さんなど。

長くなったので続きは来週に。

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※「絵本作家の仕事」は毎週木曜更新予定です。

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