絵本作家になる方法 持込み2「月刊絵本」

絵本はまあ小さな業界なので作家同士知り合いが多い。近い世代の人は特に多い。どうやって絵本作家になったか話す機会もあって、ぼくのように純粋に持込みでデビューした人は意外なほど少ないことに気がついた。

純粋に、というのは何のツテもなくいきなり編集部に電話したという意味だ。それ以外になんらかの紹介で作品を見てもらいデビューにつながった人たちもいて、いきなり組より数的にはずっと多いと思う。
絵本教室に通い、先生に認められて編集者を紹介してもらうというのが典型的なケースだ。これも一種の持込みと考えれば持込みからのデビューは少なくない。

いきなり組のデビューには特徴があって、月刊絵本が舞台となることが多い。
月刊絵本とは主に幼稚園や保育園で予約購読するソフトカバーの絵本だ。子どものころ、あるいは我が子が幼いころ、毎月園でもらってきたのを覚えている人もいるだろう。福音館書店、世界文化社、鈴木出版、チャイルド本社、フレーベル館、学研などが発行している。
いずれの出版社にも、月刊絵本として制作した作品から好評なものを単行本化するコースがあり、『ぐりとぐら』なども月刊絵本から生まれたベストセラーである。

「ボールガエル」風木一人 平出衛

これは福音館書店の月刊絵本「こどものとも年中向き」2004年2月号『ボールガエル』(風木一人・作 平出衛・絵)ボールの中に住んでいるカエルたちのお話。

出版社にとって新人を起用するのはいつだって冒険だが、一年分12冊をまとめて予約する月刊絵本ではリスクがだいぶ軽減される。ラインナップに好きな作家・有名な作家が入っていれば、無名の新人がひとりふたりいても気にする人はあまりいないだろう。
さらに、毎月出さなくてはならないから多くの作品を必要としている。年齢別に3誌あれば36作の絵本を作らなければならないのだ。
そうした理由で、まったくの新人が持込むなら、月刊絵本の編集部はおすすめできる。

一度に持込む作品数だが、ぼくは2作か3作にしていた。せっかく勇気を出してアポを取ったのに1作だけではもったいない。といって山ほど抱えていっても見てもらう時間がないだろう。相手の立場になって考えることは持込みでも重要だ。
まあぼくの場合見せられる原稿が4作以上あることはまずなかったので(そんなに作れない!)山ほど抱えていきたくてもできなかったが。

コンペでも持込みでも採用や受賞のハードルは変わらないと思う。だからそこで迷う必要はない。要は審査員や編集者を「これはいい!」とうならせなければならないのだ。作品をみがく以外ない。

コンペでも持込みでもない道もある。イラストレーターとして活躍し絵本の依頼を受けるようになった人はけっこういる。個展で手作りの絵本を売り、それが編集者の目にとまって出版に至った人もいる。

道はひとつではないのだ。みんなが通る大きな道を行くもよし、自分だけの細い道を草をかきわけ探すもよし。モノを創る人間なら、とらわれず自由に考えたい。

持込みの話、もう1回続きます。

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※「絵本作家の仕事」は毎週木曜更新予定です。

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