絵本作家になる方法 持込み3「一番大事なルール」

ぼくが持込みの際に絶対守っていたルールが一つある。自信作ができたときに持ち込むということだ。それまではどんなに気が焦っても持ち込まない。
自分がいいと思っても、他人はいいと思ってくれないことはよくある。しかし逆はない。自分でもいまいちだと思っている作品が人を感動させることは絶対にない。
だからまずは自分が本心から「よし!」と思えるものを作ることだ。それまではコンテストや持込みを検討しても意味がない。

ある編集者が「出版社は絵本教室ではない」と言っていた。「出版を検討できるレベルのものを見るのは仕事だが、水準に達していないものを見るのは出版社の仕事ではない。アドバイスがほしい人は絵本教室に行けばいい」こういう趣旨だった。
多くの絵本出版社が持込みを歓迎しないのは、水準に達していないものを見るのが嫌だからで、優れた作品なら話は違うはずなのだ。

自作が水準に達しているか判断するのは難しいが、それはできなければいけないことで、絵本をたくさん読んでいる人なら充分可能だと思う(絵本をほとんど読んでいない人には不可能だと思う)。
これまで読んできた優れた絵本たちと並べても恥ずかしくない作品ができたなら、誰にでも堂々と「見てください」と言えばいい。

「でも、出版社は持込みを受けつけてくれないんでしょ?」という声が聞こえてきそうだが(笑)、じつはここからが大事な話だ。
ネットの情報だけで「持込みは無理」と信じてしまうようではいけない。そういう人は作家に向いていないと思う。
絵本だけの話でなく、自分で当たってもみず他人の話だけで諦めていたらどんな扉も開かないだろう。

実際、先述とは別の編集者に「今はどこも会ってくれないそうですね」と言ったら「私は見ますよ」ときっぱりしたお返事で、「電話の感じで本気の人かはだいたいわかる。本気の人なら会いますよ」とのことだった。
他の人が諦めるところで諦めないのはとても大事なこと。
ぼくだって10社で断られるうちに諦めていたら『ながいながいへびのはなし』を出版することはできなかったのだ。

作家の仕事はこれまでなかったものを作ることだ。これまでなかったものは必ず一部の人の(場合によっては全ての人の)反発を受ける。「こんなものはダメだ」と。
でもそこからが、ダメだと言われてからが本当の作家の仕事なのだ。
もし、最初から最後まで誰の反対も受けず完成してしまうようなことがあったら、ぼくなら自分を疑う。何一つ新しいところのない、過去の作品をなぞるだけのものを作ってしまったのではないかと。

次回は(たぶん)絵本塾、絵本教室について。

風木一人の絵本

※「絵本作家の仕事」は毎週木曜更新予定です。

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