絵本作家になる方法 絵本塾・絵本講座について

「絵本作家になるのは大変ですか?」と訊かれることがある。答えは相手次第だ。その人が絵本の天才なら簡単だろう。そこそこの才能なら努力すれば何とかなる。まるで才能がなければ――さすがに無理というものだ。

「絵本作家になるには学校に通わなければいけませんか?」という質問も多い。答えはノーだ。独学で絵本作家になった人はたくさんいるし、ぼくもその一人だ。

ただ、独学も可能だし、絵本づくりを学べる良い本もあるが、やはり技術的なことは経験者から直接学ぶのが一番の近道だとは思う。

絵本づくりを山登りにたとえるなら、登ったことのある人から「こんな道だったよ。こんなふうに登ったよ。このへんは危なかったんだ」と聞かせてもらって役に立たないわけがない。

一方リスクがゼロというわけでもない。同じ山にも多種多様な登り方があるはずだが、さきに一つのルートを教えてもらうと、ついそれしか見えなくなってしまうことがある。本当はまったく別のルートもあり、そこからはまったく別の景色が見えるかもしれないのに気がつけなくなってしまうのだ。

教室に通う、先生につくことに危険があるとすればそこだろう。作家になるなら、最終的には自分だけの登り方を見つけなくてはならないのだ。

ぼくは講師としてはいつも「ぼくはこう考えるけれどこれがすべてではない」「作家が10人いれば10通りの考え方がある」と伝えるようにしている。

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現在絵本を学ぶ場はたくさんあるし、多様である。美大、専門学校、カルチャースクール等に絵本の講座があり、作家や編集者による小規模な私塾も増えている。週5日学ぶところもあれば、月に一度学ぶところもある。

大きく2つに分けるなら、一人の講師が継続的に教える講座と、たくさんの講師が入れ替わり立ち替わり教える講座だ。

初めて絵本の勉強をするなら一人の講師が全て受け持つものがいいだろう。一度は系統だった絵本づくりを学んだ方がよい。
講師にとっても、初めて会った人に的確なアドバイスをするのは難しいが、継続的に見ていればその人の個性を理解した上でアドバイスできるようになる。
ただし講師との相性が悪いと台無しになるから選び方には注意が必要。体験講座などで講師の顔を見てから決めた方がいい。

たくさんの講師が1、2回ずつ登場する講座にも長所短所がある。
講師はたいがい作家か編集者だが、同じく絵本について語っても、まあ驚くほど違う内容になるだろう。絵本の作り方にたった一つの正解などなく、プロはみんな自分の流儀を持っているからだ。そこで本当に初めての人はたぶん混乱してしまう。誰の言うことを聞いていいのかわからなくなる。そういう人はたくさん見てきた。

だからこのタイプの講座は、すでに一度は系統的に学んだ人や、独学であっても自作絵本を完成させたことのある人、一応作れるが何か足りないと感じている人におすすめだ。多くの講師の話の中からその何かを見つけられるかもしれない。全員の話が役に立つと思ってはいけない。一つでも二つでも「これだ!」というものがつかめれば半年や一年通う意味くらい充分ある。

実際には通える時間や場所が限られているのが普通だから、多くの教室があるといっても選択肢はそんなに広くないかもしれない。

迷ってしまう人の背中を押すために言うと、どんな講座を選んでも必ず何かは学べる。まるで役に立たないなんてことはない。複数の講座に通ったのち作家になった友人が何人かいるが、全員が「どの講座もそれぞれ役に立った」と言っていた。要は学びとろうとする意欲だ。講師は必ず何かあなたにとっていいものを持っているのだから。

最後にプロになることについて一言。
どんな講座であれそこに通ったからプロになれるということはない。講座に通おうが通うまいがなれる人はなれるし、なれない人はなれない。
では何のために通うか? 近道だ。独学ならプロデビューまで10年かかるところ、自分に合った講座に通うことで5年になるケースはあるだろう。
そういうものだと思う。

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※「絵本作家の仕事」は毎週木曜更新予定です。
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