絵本の企画を通す2「どのくらい待つべきか?ボツor採用」

持込みを始めたころ、その場でボツということもよくあったが、預かって検討したいと言われることもよくあった。もちろん「よろしくお願いします」と置いて帰るのだが、返事がいつ来るかはわからない。

ぼくはひと月したら電話をかけていた。「いかがでしょうか?」
「残念ですがお返しします」と言われる場合と、「もう少し預からせてほしい」と言われる場合があり、後者ならばもちろんまた「よろしくお願いします」と言って待つ。
ただこの「もう少し預からせてほしい」が続くと判断に困った。そして3ヶ月4ヶ月目になると「もうけっこうです」と言って原稿を引き上げていた。これは今思えば間違いである。

当時は絵本の良し悪しを判断するのにそれほど時間がかかるわけがない、待てと言っているけれど本当はもうボツなんだろう、と思っていた。
しかし今はそのくらいかかることもあると知っている。半年以上かかることだってある。理由は主に二つだ。

見てくれた編集者が気に入っても、それだけで出版できるわけではない。会社としてのGOサインを得るためには社内に説得しなければならない相手がいろいろいて、編集者は戦略を練ったりタイミングを見計らったりする必要がある。
もう一つはどの編集者も複数の仕事を同時に進めていて、優先順位としては当然持込みよりもプロの作家の企画が先になること。

だから編集者に待てと言われたら基本的には待つしかない。ただあなたがプロの作家でないなら、ときどきは催促の電話かメールをした方がいい。多忙の中ですっかり忘れられていることもなくはない。間隔は1ヶ月から2ヶ月が適当だろうか。そして、いくら時間がかかるものだとは言っても1年待たされるようなら返してもらった方がいいと思う。催促しつつ1年待っても決まらなかったものがその後採用になる可能性は極めて低い。

めでたく企画が通る場合も、かかる時間はまちまちだ。1週間ということもあれば、1ヶ月のことも、半年以上のこともある。すべて自分のこととして経験した。

たぶん、出版社によって、意思決定システムが違うからだと思う。担当者が惚れこめばそれでオーケーなら話は早い。編集会議(あるいは編集・営業の合同会議)を通さなければならないなら時間がかかる。会議を通ったのち役員と社長にも精査されるなら、もっとかかる。細かいことは知らないが、出版社によってやり方は大幅に違うらしいのだ。
「部長のオーケーまで出てるから大丈夫です」と言われていたのに「役員のオーケーが出ませんでした」で沈没したことも実際あった。つらい思い出である……。

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一度だけ、持込みで即決したことがある。『ぼくはあやまらないぞ』(絵・カワシマミワコ 愛育社)のときだ。
愛育社は小さな出版社なので、社長兼編集長の伊東さんと直接お話しした。このときはすでにカワシマさんと組んで完成品に近いダミーを用意していた。
ダミーを一読した伊東さんは「いいですね。定価○○○○円、印税○%、初版○○○○部くらいでどうですか?」とさらっとおっしゃった。
何度も読んでからではなく、内容に関する質問をしてからでもなく、じつに何気なく採用の意志を表明されたのに驚いた。
さすが社長。誰にはかる必要もなく、出すと決めれば出せるのである。
決断の早さもすごいなあと思った。

その後も社長さんに直接担当してもらったことは数度ある。小さめの出版社ではわりとあることなのだ。
そしてそのたび「社長さんはやっぱり違うなあ」と感じたことが後にホテル暴風雨での「社長インタビュー」につながっていく。
よろしければこちらもどうぞ。<社長インタビューへ
出版社の社長さんも複数登場します。

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「絵本作家の仕事」は毎週月曜更新予定です。
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