誰に向けて書くか?「1本の矢で2枚の的を打ち抜く」

児童書を作って売ることの難しさについて、よく言われることがある。子どもの顔を見るか、親の顔を見るかだ。
読者は子どもだが、買ってあげるのは親で、その2者の好みは必ずしも一致しない。子どもが大喜びする本に親は顔をしかめ、親が読ませたがる本を子どもが断固拒否するなんてことも珍しくない。
作家と出版社は本を売るためには親にも子どもにも喜ばれなくてはならない。
1本の矢で2枚の的を打ち抜くのだ。
難しいに決まっている。

ぼくはそこで少し違った角度から考える。なるべくシンプルに考える。
ただぼくが良いと思う絵本を作ればいいじゃないか。こういう絵本があったらなあ!と夢見る絵本を作ればいいじゃないか。
それをすべての人が気に入ってくれるとは思わない。しかしぼくと似たところのある人たちは気に入ってくれるだろう。
自分が本当に良いと思うものを作れれば、同じように良いと感じてくれる人たちが必ずいることをぼくは信じている。誰とも似ていないほど個性的な人なんてどこにもいないからだ。
多いか少ないかわからないが、ぼくと似た人たちはいて、ぼくは結果としてその人たちに向けて書いているのだろう。その人たちに向けてしか書けないのだろう。

とてもシンプルだ。子どものころのぼくと似たところのある子どもたちがぼくの絵本の読者なのだ。
ぼくとまるで似ていない子どもたちにはきっとぼくの絵本は届かない。しかしそういう子どもたちのためには他の作家がいる。その子たちと似た心を持ってその子たちを満足させる絵本を作る作家が必ずいるはずだ。
みんなが同じ絵本を読む必要はない。それぞれが自分にぴったりの絵本を探せばいい。作品というのはその程度には個人的なものであっていい。

本を作ることは手紙を瓶につめて海に投げこむのに似ている。行く先はコントロールできない。風や海流まかせ。誰かに届いているとは思うけれど誰に届いているかはわからない。それだけに稀に「届いたよ」と返事があったとき、それはそれは嬉しいのだ。

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葉書でもメールでも、本の感想が届くと著者はとても喜びます。読者の皆さんが想像しているより遥かに喜びます。担当編集者もです。そして次の創作へのエネルギーになります。ひとことだっていいのです。大好きな本と出会ったら出版社へ、あるいはホームページなどを通じて著者へ直接、感想を送ってくださいね(^-^)

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告知です。
明日1月23日(火)20:30~21:30 インターネット放送局Cwaveの「千住でクロス」に出演します。生放送です。何を話すかはパーソナリティーの小早川真樹さん次第ですがたぶん絵本の話です。小早川真樹さんは昨年3月ホテル暴風雨のインタビューに登場してくださった株式会社しまや出版の社長さんです。

インターネット放送局Cwave

放送が始まるとだれでも無料でご覧いただけます。おひまでしたらぜひ♪


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