絵本の勉強法1「優れた絵本が最高の教科書」

ホテル暴風雨の2周年イベントが終り一息ついたので、このブログを再開しようと思う。
10ヶ月42回書いてくると何を書いて何を書いていないか記憶が怪しくなってくる。同じことを書いてしまったらごめんなさい。

さて、絵本作りに興味のある人向けのブログと言いながら具体的な勉強法を書いてこなかったことに気づいたので、これから何回か勉強法について書こう。

5年間、カルチャースクールで絵本創作の講座を持っていた。忙しくなってレギュラーの講座はやめてしまったけれど、いまも単発で頼まれることはしばしばある。いつも感じるのは、絵本作家志望の人たちがびっくりするほど絵本を読んでいないことだ。
好きな絵本や絵本作家を訊くと、ほとんど答えられない人がいる。答えられても超有名絵本で、たくさん読んだ中でそれが特に好きなのではなく「それしか読んでいない」ケースも目立つ。

とても不思議だ。ふつう絵本が好きな人は絵本を読むだろう。小説好きが小説を読み、映画好きが映画を観るように。読まないということは彼女ら(絵本講座に来る人の8割は女性)は絵本が好きでないのか? 好きでないならなぜ作りたいと思ったのだろう? 読むのは好きでないが、作るのは好きなのだろうか?

読まない理由を訊いてみると、「影響を受けたくないから」などという人がいる。いやいや。影響を受けてください。
世界にはすばらしい絵本作家がたくさんいる。すばらしい作家の影響を受けたらあなたの作品はどうなるか? いまよりずっとよくなるのだ!
いいものの影響を受ければよくなる。当り前のことだろう。
影響を受けるのはまるまるコピーするのとは違う。そのへんに勘違いがあるのかもしれない。そもそも高い技術を身につけていなければコピーすらできない。影響を受けることさえ簡単ではないのだ。

連続講座の初回では必ず「まず読んでください」という話をしてきた。それが一番大事なことだからだ。
少なくとも半年で100冊。ノートに簡単な記録をつけてもらい、半年のコース終了時に提出してもらう。
本当は数よりも質、よい絵本を読んでこそ意味があるのだが、ほとんど読んでこなかった人は、まず無差別に読むのがいいと思う。ぼく自身絵本を作りたいと思ったときまずしたのは、図書館で「あ」の列から順番に読むことだった。

だいたい読んでいない人ほど先入観が強い。「絵本はこういうもの」と狭く決めつけてそれ以外は見ようとしない。だから自分で選ぶと絵本の世界のほんのひと隅しか知らずに終わってしまう。
絵本の世界は多くの人が思っているよりずっと広い。簡単に「こういうもの」と決めつけられるようなものではない。
だからぼくの講座では毎回絵本を何冊か紹介していた。王道の有名絵本より個性派の絵本を中心に紹介したのは「こんな絵本もあるのか!」と驚いてほしかったのだ。それはたとえば『とんぼとり』(長谷川集平)だったり、『やくそく』(成田雅子)だったりした。

 
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目を養うためにまずは手当たり次第読む。ある程度数を読むと絵本を見る目がついてくるから、それからは選んでいく。
絵本の世界の広さを知った上で、そこに自分の場所があるか、自分が本当に作りたいのはどんな絵本かを考えるのだ。

一読者なら好きな絵本を読んで「ああ楽しかった!」で終わっていい。しかし勉強のための読み方は少し違う。一歩ふみこむ必要がある。
多くの絵本にふれれば必ず、心動かされるものとそうでないものがあるだろう。その二つは何が違うのか?
心動かされる絵本を見つけたら、何度もくりかえし読んでみる。なぜその絵本が自分を感動させるのか、秘密を探るのだ。
絵、ことば、その二つの組み合わせ方、作家はどんなテクニックを用いているのか? 他の絵本とは何が違うのか? あなたの絵本とは何が違うのか?
そういう問題意識を持って絵本を読んでいけば、半年でもたくさんの気づきがあるだろう。

初めて絵本を勉強する人はもちろん、すでにある程度作れる人でも「絵本読書量」に自信がないなら、作る時間を削ってでも読むことに時間を使ってみるべきだ。土台を大きくしておくことは後々必ず生きてくる。

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「絵本作家の仕事」は毎週月曜更新予定です。
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