電車 居眠り 夢うつつ 第21回「マンモス狩りとビザカード」

<先週>からの続きです。

圧迫・迫害を受けているかどうかは一旦措くとして、我々が、自分が普段意識している以上に組織と密接に結びついているのは確かだ。
組織、集団、ネットワーク・・・。どの呼び方が良いか迷うところだが、内容としては、「個人ではできないような大きな仕事をすることを目的として、多くの個人を機能的に結びつけるしくみ」ということだ。
わかりやすいところでは、会社や学校は組織だ。個人で商売をするより、たくさんの人が役割分担をして働く方が大きな商売ができる。一人の先生が家で何人かの生徒を教えるより、大きな建物を作って、先生と生徒を集める方が効率よく教育ができる。
うんと小さいところでは、町内会も、家族だって組織だ。
自治体や電力会社などの公共サービスも、居住者、利用者を含めて組織と考えられる。
組織はあらゆるところにある。

少し唐突だが、私の父が死んだ時のことを書かせていただく。もっとも、身内の葬式を出したことのある人なら、誰でも体験したはずのことだ。
葬儀が無事終わると、次に我々家族がしなければならないのは、おびただしい事務手続きだった。
区役所、年金事務所、口座を持っていた銀行全て、昔の勤務先、保険会社、電話会社、ガス会社、電気会社、クレジットカード会社、インターネットプロバイダー、その他もろもろへ、父の死を報告、届け出した。
窓口で、あるいは電話口で、用向きを言うたびに型通りのお悔やみを言われる。そして故人の名前、生年月日、なんとか番号などを伝え、相手の「ご連絡ありがとうございました」という声を聞くと終了だ。
一人の人間の死を、こんなに多くの赤の他人に知らせなければならないとは、それまで全く気づかなかった。現代人が死ぬのは、そんなに簡単なことではないのだ。

☆     ☆     ☆     ☆

ホテル暴風雨にはたくさんの連載があります。小説・エッセイ・詩・映画評など。ぜひ一度ご覧ください。<連載のご案内>