【 警鐘魔談 】LED・魔の点滅(3)

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点滅という状況が人体に与える影響につき、もう少し実例をあげて考察を進めたい。
寿命が近くなった蛍光灯が、点滅し始めることがある。あなたも何度か見たことがあるだろう。点滅に気がついて「……あ、寿命か」と思う。そんな時、点滅し始めた蛍光灯をどうするか。交換するまで点滅を我慢するか。それとも即座にはずしてしまうか。
筆者は1秒たりとも我慢できない。即座に外し、ただちに新しい蛍光灯を買いに走る。あるいは買って来るまでの急場しのぎとして、リング蛍光灯が2個ついている照明から1個だけ外してもってくる。これは神経質だろうか。あるいは普通だろうか。

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こんなことがあった。
専門学校で講師をしていた筆者が教室に入った。受講生20名ほどが全員起立した。礼をして着席させ、さて講義を始めようと思って教室を見回し、蛍光灯のひとつが点滅していることに気がついた。「やれやれ」と思って生徒に「いつから点滅している?」と聞くと「今朝からずっと」という返事。筆者がこの教室に来る前に90分の講義が行われていたが、その講義の間中、ずっと点滅していたというのだ。呆れたというか、驚いた。担当講師の名前を聞き、「なるほどあの先生なら平気かもな」と思いつつ「君たちはこの点滅が気にならないのか?」と聞いた。笑っている男子もいれば、眉を寄せてイヤそうな表情のポニーテールもいた。

ポニーテールの名前を呼び、「先生はこの蛍光灯のことはなにも言わなかったのか?」と聞いた。チラッと点滅蛍光灯を見ただけでなにも言わず、そのまま講義に入ったらしい。「なんてヤツだ」と思い、なにか冗談を言いたい気分になったが、やめた。教室で他の先生の行為をとやかく言うのはまずい。
その話題はそれで切り上げ、さっさと点滅蛍光灯をはずすことにした。3人ほどの男子生徒の名前を呼んだ。机の上に椅子を置かせて数人に支えさせ、身長180cmの男子生徒に命じてその蛍光灯を外させた。外した途端にポニーテールが「あー、スッキリした」と言って笑顔になった。「なぜ先生に言わない?」と聞くと「言っても無駄だから」というあっさりとした返事。これまた呆れた。

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さらにまた別の学校、別の教室でこんなことがあった。
その日の講義はF4のスケッチブックを机上に置き、制限時間30分で「キャラクターのアイデアスケッチを6案描く」というトレーニングをさせていた。キャラクターの条件を黒板に箇条書きし「5分で1案。30分で6案」というトレーニングである。
制作開始から10分あたりでボブカット女子が手を上げて筆者を見た。「なんか質問か」と思ってうなずくと、「点滅している蛍光灯があって気持ち悪いです」という。反射的に天井の蛍光灯を見た。微妙に青かったりオレンジ色だったりの長い蛍光灯が20本ほど並んでいたが、点滅している蛍光灯は見当たらない。驚いて彼女を見た。スケッチブックの白い紙に反射する光のどれかが点滅しているというのだ。彼女の席に行ってスケッチブックをまじまじと見つめた。やはりわからない。他の生徒たちに「点滅している蛍光灯があるのがわかるか」と聞いてみたが、みな首をふるばかりだ。

「どの蛍光灯かわからないか」とボブカットに聞いた。彼女はしばらく天井の蛍光灯を睨んでいたが、それはわからないらしい。ただスケッチブックの白い紙が微妙にチカチカと点滅しているのはわかるという。
「我慢できないか?」とボブカットに聞くと、「なんとか我慢できます」と言う。「……無理することはない。無理だったらいつやめてもいい」と言いつつ、筆者は半信半疑だった。彼女の言葉を疑っていたのではないが、「気のせい」ということもありえる。ところがその講義が終了する間際になって、なんと点滅を始めた蛍光灯が出てきたのだ。今度ははっきりとわかった。ボブカットを見ると笑っていた。

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人により、鈍感、普通、敏感、過敏……と様々なタイプがある。
花粉症がまさにそうだ。「あんな憂鬱なものはない。虫歯1本の苦痛で自殺した人がいるが、それがよくわかる。どんどん暗い気分になる。なにもかもがイヤになる」と友人から聞いたことがある。その一方で全く平気な人もいる。しかし「あー、鈍感でよかった」などと喜んでいていいものではない。周囲の人々にダメージを与えるようなものは、結局は巡り巡って自分にもなにかしらのダメージを与えることになる。「自分には関係ない」などと言って笑っていていいものではない。人類共通の敵として方策を考えなければならない。

しかし花粉症ほど顕著なダメージを与えるものには人は大騒ぎし、毎夜のニュースにも「明日の全国花粉情報」などという画面が出てくるぐらいだが、潜在意識にじわじわと苦痛や不快感を与える魔の伏兵に対しては、人は全くの無防備だ。都会の夜を行き来する人々にその危険性、その警鐘を鳴らすべき時期が来ているように思う。
次回は映画「エクソシスト」を取り上げて「意識/潜在意識」の話をしたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・…( つづく )