詩が僕らを分かつまで

・・詩が僕らを分かつまで

率直に言えば
という前置きさえ僕はもはやためらうまい
常套句からの離脱だって
毎度毎度となれば飽きる

好きな情報に手早く接触できる時代が来た
口うるさい紙面や空騒ぎの電波からの解放
聞きたい言葉を
みずからの判断で取捨選択するのだ
僕らは僕らの偏向にしたがって
とても自由にふるまえる

ネットワーク上に発表すると
顔見知りの友人のみならず
作品に惹かれた人もおとずれる
愛想でない心からの賛辞がまれにとはいえ聞けるのも
インターネットのおかげだ
多かれ少なかれ自分を好む人間に読まれて
詩人はよろこびがちである

反応が目に見えるから創作意欲がわきやすい
剪定も念入りになる
ひとみが輝く
いいことだ
あらゆるいいことが
詩人を押し流そうとする
感想が 批評が
教養が 経験が 金銭が
美術が 小説が 定型が
それらからの訣別が

僕の言葉がわかりやすいのは
通じ合いたいからではなくて
僕らが他人であることをはっきりさせるためだ
理解可能な概念と
共感可能な感傷をてこにして
小さく突き飛ばす

瞬間 手は胸骨のかたちを知る

続きはない
ふれれば落ちる水色の花
その名をポエジーと世界は呼んだ
これをあいさつに定めよう
ひとつの間投詞を出会いにも別れにも
ポエジー、はじめまして、いいお日和ですね
ポエジー、どうかお元気で
どのような詩も一行目から始まって最終行で終わるから
ハローそしてグッドバイ


中本速「ポエムで悪いか」は第50回となる今回をもって一旦休載となります。ご愛読ありがとうございました。ご意見ご感想等ございましたらこちらへお寄せいただければ幸いです。