湯布院映画祭へのお誘いと「花芯」

熊本・大分地震で開催が危ぶまれたが、今年も来週25日(木)から4日間の日程で大分県湯布院温泉で41回目の湯布院映画祭が開かれる。日本映画ファンにはたまらない夏のお祭りだ。

日本映画の旧作、これから公開予定の作品、あるいは試写があまり行われていない作品を毎日3、4本上映し、シンポジウムでゲストの監督やスタッフ、俳優さんと意見の交換を行い(それには、絶賛も酷評もある)、夜は10時から(!)、地元の美味しい酒を片手に好きなゲストを取り囲んで徹底的に語らうという、自分もずっと加わってきたとは言え、なかなか常軌を逸した、いや失礼、充実した内容を持つ日本で一番歴史の長い映画祭だ。

81年からほとんど毎回参加してきた。素敵な映画に出会え映画の見方が鍛えられ、全国から来る素敵な映画ファンと知り合った。毎年参加する常連はおよそ40人か。皆さんと毎年会うのが楽しみになっている。勿論、ゲストの俳優さん目当てで初めて参加する人も多い。

金を払って率直に意見を言う私たち観客を、制作者側は新鮮でありがたい(時に、うざい?)と思っているようだ。映画を作る者と見る者が垣根を取り払って直に交流し合っている。

全国公開に先がけて試写を行いシンポで好評を博した映画は「お葬式」「竜二」「月はどっちに出ている」「ヴァイブレータ」「実録・連合赤軍」「0.5ミリ」等で枚挙にいとまない。

お祭りだからミーハー的(?)側面もあり、魅力的な個性的伝説的俳優が参加するとぐっと盛り上がる。内田裕也、松田優作、薬師丸ひろ子、司葉子、寺島しのぶ、など忘れがたい(みんなパーティで直接話した)。
また、参加当時はそれほど有名でなかったがその後伸びた若手・中堅の役者さんも沢山いた。石田えり、深津絵里、大杉漣、満島ひかり、ARATA(現 井浦新)などなどキラ星のごとくだ。

毎年特集があり、今年は「映画に恋した女性たち」と銘打ち、女性の監督や編集者の映画を上映する。
特別上映・試写も6本あるが(そうそう、前回紹介した「うつくしいひと」も入った)、一本だけ既に新宿で公開中の映画がある。

それは瀬戸内寂聴原作、監督安藤尋の「花芯」だ(「花芯」とは中国語で子宮を意味する)。
(出演:村川絵梨、林遣都、安藤政信、毬谷友子 ほか 公式サイト

映画「花芯」瀬戸内寂聴原作・安藤尋監督

実は私は監督の大ファンだ。女子高生二人の日常を丁寧に撮った「blue」は、長回しの映像で女の子の感情を繊細に掬い取っていて素晴らしかった。
待ちきれずに新宿に「花芯」を見に行ったのだが、なかなかの傑作であった。戦後すぐの時代の言わば女性の「不倫映画」だが、素晴らしい演出で女性の性の深淵を見せてくれる。主演の女優も性愛シーンを激しく演じきっている。監督と主演女優の参加で、映画祭も盛り上がるだろう。

最後に、映画祭がコアな映画ファンだけの怖い(?)ものでは全然ないことを付記しておきたい。10年くらい前、担任していた映画好きの高校生(私、教員です)やOBの大学生を一緒に連れて行ったりもした。
湯量の多い温泉も素晴らしい。お気軽にどうぞと、お誘いしたい。

湯布院映画祭公式サイト

※画像は「花芯」公式フェイスブックページより