頑張れ、「ビリギャル」の有村架純

ほとんどTVドラマを見ないが、2013年の「あまちゃん」だけは別だった。毎日、朝からテレビに噛り付いて見入った程だ。クドカンこと宮藤官九郎の脚本が無茶苦茶に面白い上、出てくる役者もユニークで個性的、特にこのドラマで初めて存在を知った弱冠20歳の有村架純は可愛いかった!
有村は歌手を夢見て東北から上京したが、他の音痴の歌手(薬師丸ひろ子)の声の代役をやらされる小泉今日子の若い頃の役を演じた。美しく力もあるが不遇な境遇に耐える、現在は絶滅した(?)可憐な大和撫子のイメージそのものだった。

監督:佐藤信介 出演:大泉洋 長澤まさみ 有村架純

監督:佐藤信介 出演:大泉洋 長澤まさみ 有村架純

彼女は映画にも順調に出演し今年は4本の作品に出た。春に公開されまずまず面白く見たのは「アイアムアヒーロー」だ。
謎の感染症で街がパニックになり平凡な漫画家大泉洋がゾンビのような感染者と闘うことになる。
映画は描写が残酷で、しつこくて、画面が血まみれで、自分はこんなホラー系(?)はダメだという気持も途中持ったが、それでも時折差し込まれるユーモアは絶妙で、等身大だが危機に際しては銃を撃って闘う大泉洋の活躍、感染する高校生役の有村架純の可憐さ、もう一人、闘う女の長澤まさみの凛々しさが印象的だ。

映画「何者」監督:三浦大輔 出演:佐藤健 有村架純 二階堂ふみ

監督:三浦大輔 出演:佐藤健 有村架純 二階堂ふみ

秋に公開されたのは大学生の就職活動を描く群像劇「何者」だ。珍しく見終わって人に勧める気にはなれない映画だった。有村も含めて人気や実力のある若手俳優が揃っていて結構期待したのに、映画はいつまで経っても面白くならなかった。

若者が就職活動を続け内定をもらったり落ちたりするが、ラスト近くタッチが大きく転調し、群像ドラマではあるが主役級の内定をもらえない若者が実は悪意でツイッターで仲間の悪口を撒き散らしていた話となる。共感も何もなかった。私は原作の朝井リョウと相性がよくないのだろうか、それとも演劇出身の監督が妙にひねって変な作品にしたのだろうか。

有村は、田舎の母親が不倫した父親と別れて上京するので一緒に暮らすことを受け入れる真面目な女子大生を演じていて、可もなく不可もなくといった感じだった。

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映画「ビリギャル」監督:土井裕泰 出演:有村架純 伊藤淳史 野村周平

監督:土井裕泰 出演:有村架純 伊藤淳史 野村周平【amazonで見る】

さて、やはり褒める映画のほうがいい。好きな映画をもう一本、有村がハツラツかつ健気に受験生を演じる「ビリギャル」だ。レベルの低い際物のアイドル映画とユメ誤解されないように。主役の有村の魅力を大いに引き出す娯楽映画でありつつも観客の心を動かす真っすぐな映画なのだ。

知っている方も多いだろう。聖徳太子を「せいとくたこ」と呼ぶような学力だったが一念発起して塾の先生の指導を受けて猛勉し、偏差値を一年で30から40上げて慶応大に現役合格した実在の名古屋の女子高校生の話だ。
有村はミニスカートの制服を着て無邪気に遊びまわったりド派手な金髪になったり、髪を切ってジャージ姿で必死に勉強に打ち込んだりと様々な相貌を見せる。そのどれもが可愛い。

映画は受験の進展に加えて、家族関係の変化、塾の先生との交流なども描くが、主人公が迷いつつも自分の可能性を信じて前に進んでゆく、そして成長する姿が素直に描かれているのがとても好きだ。
慶応に合格した後に新幹線で東京に向うラストにはジンと来る。タイトルロールでは登場人物が次々にミュージカル風に歌ってゆく。これがとびきり楽しい。

ヒロインの健気さが十分に伝わるのは、無論有村が演じたからだ。これからも彼女にはこの健気さ、ひたむきさ、可憐さを保ってスクリーンに出て欲しい。しかし、それは、「かくあってほしい古い女性像」を求めるオヤジの発想か。飛躍のために小悪魔的な役も、あるいは男を踏みつけるような大胆な役も必要だろう。

彼女は来年のNHKの朝ドラの主演も務める。そして、大晦日の紅白歌合戦の赤組の司会も。頑張れ、有村架純!