号外「イギリスのEUからの離脱(Brexit)について2」

【その1からの続きです】

前投稿でまとめた通り、移民の問題はイギリス国民の生活に大きな影響を与えていました。しかし、そうであるにも関わらず、政府はEUの規則や法律の関係で、自国民を救済するための具体的な対策ができない状況でした。イギリスは民主主義の国ですが、EUとの関係で、多数を占める普通の国民の声が反映されていない状況が、さらにEUからの離脱を加速させることになりました。

例えば、残念ながらイギリスではイスラム教徒に対する偏見がかなりあります。イスラム国のこともあり、(その是非はともかく)イスラム教徒に対する締め付けを厳しくしたいと思ったとしても、EUの制度の関係上イギリス国民は自分たちでは何もできないどころか、中東からの難民まで受け入れざるをえない状況になっていました。

そんな背景のもと、離脱派は、自分たちで自分たちの国をコントロールできるようにしよう、と声を上げ、本当にそうなってしまったというのが現状です(ちなみに離脱派は、将来的にアメリカが導入している入国者管理システムであるESTAのようなものを、イギリスにも導入したいようです)。

勿論、その背景としてイギリスの国力について過信をしている国粋主義的な側面も見受けられます。日本人の私からすれば、イギリスがEUのメンバーでなくなれば、欧州本店をイギリスにおいている他国の会社は、他のEU諸国に本店を移す動きに必ずなると思います。そうすると、国際ビジネスからイギリスが取り残され、経済的にも大きなダメージを被る可能性が高いと思うのですが、彼らはイギリスだけでもやっていけるのだと考えているようです。
EU離脱には賛成のイギリス人が、スコットランドの独立については、現実を観ていないナショナリストと切って捨てていたのは、笑えない冗談でした。

そんな彼らを「自己中心的である」、「狭量な人たちだ」と非難することは簡単です。しかし、それは喧嘩をしている人たちを捕まえて、(喧嘩の理由を無視して)喧嘩は良くないと博愛主義を説くようなものだとも思います。喧嘩の理由をちゃんと聞いた上で解決策を示さなければ、博愛主義もただの理想論で終わってしまいます。

――――さらに長くなってきたので、その3へ続きます。その3では「若者は離脱に反対で年寄りは離脱に賛成」というのは本当か、「イングランドとスコットランドの温度差」などに触れたいと思います。

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