私と似て非なる人、クウェート人のB君(その1)

長らく続けてきました「人を知る、世界を知る」の友達紹介シリーズも、今回が最後です。

今回紹介するのは、クウェート人のB君です。

クウェート人ではありますが、母親がアメリカ人ですので、クウェート人とアメリカ人のハーフということになります。日本と違い世界では二重国籍が認められている国が多く、彼もアメリカとクウェートの両方の国籍を持っているのだそうです。
ちなみにクウェートの正式名称は「ステーツ・オブ・クウェート(State of Kuwait)」なので、アメリカを訪問した際に現地の警察官が「クウェートなんて州(=ステーツ)はアメリカにはないはずだが、どこから来たのか?」と真顔で質問されたこともあるそうです。

そんなB君は30代半ばの男性で、会計の勉強をするためにわざわざポーツマス大学の“学部”に入学していました。彼は、私がイギリスに滞在している期間で出会った人々の中で、最も優秀なビジネスマンだったと思います。なんと彼は、クウェートで既に起業し、100人以上の従業員を抱える立派な会社のオーナーだったのです。飲みに誘うたびに色々と教えてもらっていたので、私にとっては大学の教授以上に先生と呼ばないといけない友人です(苦笑)。

以前フェイスブック上にあげたクウェート訪問記でも記載しましたが、そもそもクウェート人のほとんどは公務員です。従って、民間企業に就職していること自体が稀なのですが、B君は自分の会社を興している創業者です。それだけでも、どれだけ彼が特異な存在か理解いただけると思います。
それに加えて、実はB君の父親も、とある日本の企業の代理店をクウェートで立ち上げた創業者なのですが、その後を継ぐことを良しとせず自分で独立していました。
私からすれば、こんな優秀で経験も豊富な彼がわざわざ学部から学び直していることが、不思議でなりませんでした。すると彼は、大きくは三つ理由があると語ってくれました。

一つ目の理由は、「会計の勉強を一からしたかった」からだそうです。
これはまぁ理解できます。社会人になってから知識の必要性を感じ、学び直したいと思うことは多いと思いますし、そのために日本でも大学の夜間学部や、最近では社会人向けに大学院のコース等が盛んです。しかし、時間もお金も大きな投資が必要な留学までするとなると、躊躇する人がほとんどではないでしょうか。ちなみに、イギリスの大学の学部は3年間で終わります。従って、日本の大学よりは1年早く終わるのですが、それにしても3年間です。

私のような人間ですら職場をあけることに大きな抵抗があったのに、100人も従業員を抱える社長がどうやって3年間も会社をあけていられるのか、とても疑問でした。しかし彼は、結局は社内のマネージメントの問題で、人事制度とビジネスの構造次第でなんとでもなると言っていました。すなわち、社内から報告がちゃんと上がってくるようになっていれば、社内に居なくても自社の状況が正確につかめるようになりますし、お客様に直接状況を確認できるようなビジネスの構造になっていれば大丈夫とも言っていました。

2つ目の理由は、「自分の価値観の幅を広げるため」ということでした。これも一般論としては理解可能です。
しかし、彼のように既に幅広い経験や知識を持っている人には、学校の授業なんてつまらないんじゃないのかとも思いましたが、「それがつまらないと思うことであっても、つまらないと知ることも大切だ」と言っていました。
また、彼のように社長として様々な国の企業と関わるような人でも、どうしても仕事で知り合う人間の考え方は似通ってくるそうです。大学に学びに来る必ずしもビジネス一辺倒でない人、それも他の国や地域の人々と触れ合えるのは、自分の価値観の幅を広げてくれる、と言っていました。

7月9日(日)更新の(その2)へ続きます。