続 クチを使わずにモノを言う方法 (出典:碧巌録第七十一則「百丈併却咽喉」)

さて、百丈和尚は一緒にいた弟子たちに「なぁオマエたち、クチをふさがれた状態でモノを言うにはどうしたらよいと思う?」と尋ねたところ、五峰和尚は「師匠・・・ちゃんとふさいでおかなきゃダメじゃないですか!」と返し、百丈和尚は「ほう! それならワシは周りに誰もいないところまで行って、オマエのことを遠望することにしよう。」と言ったという話ですが、これは暴れ馬が突っ込んでくるところで相撲を取っているようなもので、命がけかつ急を要するバトル内容となっています。

「・・・逆にお尋ねしますが、師匠ならどうされますか?」と返した潙山和尚との芸風の違いが際立って面白いところですね。たとえ師匠との会話であっても、内容次第ではバッサリいくというのが五峰和尚流ということになりますでしょうか。w

今どきの修行者ときたら、師匠の教えはもちろんのこと、既存の枠組みの下で這いつくばって満足してしまっているようなのばかりで、なかなか頭ひとつでも上に抜きんでてやろう!という気概のある人はいないものです。

「本当に親身になってやろうというのであれば、「答え」を求めるために「質問」してはいけない。なぜか? 「質問」は「答え」の中にあり、「答え」は「質問」の中にあるからだ!」と言った人がいますが、五峰和尚はまさしくそれを地で行ったわけですね。

百丈和尚は「ほう! それならワシは周りに誰もいないところまで行って、オマエのことを遠望することにしよう。」と言いましたが、これは五峰和尚のことを褒めているのでしょうか? それともダメを出しているのでしょうか?

雪竇和尚は、五峰和尚の返答ぶりに対して次のようなポエムをよみました。

「師匠・・・ちゃんとふさいでおかなきゃダメじゃないですか!」なんて、まるで兵法の「龍蛇陣」!

伝説の弓の名手、百発百中の李広将軍みたい!

おっと、誰の目も及ばない万里の彼方に一羽のタカが悠々と飛んでおりますぞ!

ところで賢明なる読者の皆さん、「龍蛇陣」とは突撃してくる相手を包み込んで無力化してしまう兵法なのですが、単騎を駆って「龍蛇陣」のあちらこちらに神出鬼没するような大力量の人をどうやったら抑え込めるというのでしょうか?・・・

李広将軍が放った矢は神がかり的に必中なのだと言います。

果たして彼の矢は、「誰の目も及ばない万里の彼方を飛ぶ一羽のタカ」を射落とすことができるでしょうか?

百丈和尚の問いは「一羽のタカ」、五峰和尚の返答は「李広将軍の神箭」、・・・おっと、五峰和尚の回答ぶりのあまりの見事さに見とれるあまり、ちょっとしゃべり過ぎてしまったようです。

この話はここまでとしておきましょう。(苦笑)

<続 クチを使わずにモノを言う方法 完>

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