暑さ寒さを避ける方法 1/4話(出典:碧巌録第四三則「洞山寒暑廻避」)

真理を理解した上で実践できるようになるための修行は、決して気楽なものではありません。
燃え盛る炎の中で溶けるほど熱され、金槌で散々叩かれたかと思えば一気に冷やされる・・・

そう、それはまるで練達の刀鍛冶に鍛えられるようなものなのです。

洞山和尚と僧侶の会話です。

僧:「暑さや寒さを避けるにはどうしたらよいのでしょうか?」
洞:「暑さや寒さがないところに行けばいいんだよ。」

僧:「・・・いったいどうやったら行けるのでしょうか?」
洞:「暑い時は焼け死ぬほど熱くなり、寒い時は凍え死ぬほど冷え込ませればいいんだよ。」

黄龍和尚はこの会話を取り上げて、次のようにコメントしました。

黄:「洞山和尚ときたら、袖先に襟をつけて腋に頭を出す穴を開けてしまうのだから困ったものだ。(笑)
修行に集中するために、わざわざ静かな山奥や涼し気な川が流れているところまで行く必要はない。あれこれと分け隔てする気持ちさえ捨ててしまえば、火すらも元々涼しいものさ。」

洞山和尚は割と理論家で口達者なお方でしたので、禅の真骨頂である「不立文字」はどこへいったのかと思うほど仏教の真理を細かく分解して語ることを得意としておられました。

もしも読者の皆さんが前述の会話における洞山和尚の「やり口」を見抜けたというのであれば、以下の洞山和尚の、普通の人にはチョット何言ってるかわからない理論の意味も当然おわかりのハズですよね。

洞:「本体はひとつでも多様な現象がある。それはまるで真夜中のまだ月が出る前のようなものだ。そこで知り合いと出会ったとしてもよくわからないが、よくわからなくても相手は確実によく知った人なのだ。
多様な現象の中に本体が潜んでいる。それはまるで寝坊をしたおばあさんが古い鏡に向かうようなものだが、鏡に映る姿を自分そのものだと勘違いしてはいけない。
本体そのものがズバリとあらわれた時、無の中から真実に向かう道がくっきりと浮かび上がる。
本体と現象が激突した時、決してそこから逃げてはいけない。最良の一手は燃え盛る炎につつまれた蓮の花の中に隠されているのだ。
本体と現象が和解した時、そこにはもはや有無は存在しない。有でも無でもないものなど、人間がどうこうできるわけがない。
人は誰しも「ここではない何処か」に行こうとするが、家に帰ってソファーでごろごろするに越したことはないね。」

―――――つづく

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