「一」の帰る場所 1/3話(出典:碧巌録第四五則「趙州万法帰一」)

言いたいときにはズバリと言ってのけ、やりたいときにはあっさりとやってのけて、いずれにしても天下無敵。
火花のようであり、雷光のようであり、噴き出す炎は疾風のごとく、繰り出される刃は奔流のごとくである。
振りかざされた「向上のハンマー」の前に全ての矛先は鈍り、沈黙が訪れる。

・・・さて、私はいったい何の話をしているのでしょうか?

とある僧が趙州和尚に問いかけました。

僧:「「万法」、つまりありとあらゆる現象は、「一」、つまりたったひとつの究極の真理に帰るといいますが、それではその「一」はいったいどこに帰るのでしょうか?」
州:「ワシはかつて故郷の村にいたときに麻のジャケットを一着仕立てたが、重さは七斤ほどであったなぁ。」

このエピソードの言わんとするところを言葉で説明するのはとても難しいですが、直感的には(なんとなく)理解できるのではないでしょうか。

もしも貴方がこのノリをつかめたならば、もう誰にも貴方を止められません。
水が流れた跡に溝ができるように、自然に完成に向かうことでしょう。

いまさら言うまでもありませんが、仏法の要点を説明するのにクドクド言葉を尽くす必要はないのです。

「万法が一に帰るなら、一はどこに帰るのか?」という僧からの質問に対し、趙州和尚は「一着の重さは七斤」だったと答えました。

これまで繰り返し申し上げたことですが、この手の公案は言葉ヅラだけを追ってもダメです。

臨済和尚の弟子である普化(ふけ)は奇行の僧として知られた人物ですが、彼はいつも街角で鈴を鳴らしながら「白でくるなら白、黒でくるなら黒でやっつける! 四方八方からくるならクルクル回転しながら、虚空からくるなら怒涛の連打でやっつける!」と唱えていました。

臨済和尚が侍者に命じて普化に「そのどれでもないヤツでこられたらどうするのか?」と尋ねさせたところ、普化は「明日、食堂でメシを食うぞ!」と答えたそうですが、先に挙げた趙州和尚のエピソードは、これと全く同趣旨なのです。

―――――つづく

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