法身のかたち 1/3話(出典:碧巌録第四七則「雲門六不収」)

天はなんにも言わないけれど、月は昇るし日は沈む。
地はなんにも言わないけれど、万物を生じて止むことがない。

月日のめぐりゆくさまに宇宙の真実が示されており、それが万物生成のハタラキを支えている。

・・・それはそれとして、貴方の目に私はどのように映っていますか?
言葉じゃない、動作でもないところで私の正体を見抜くことができるなら、まずは合格点をさしあげましょう。

とある僧と雲門和尚の会話です。

僧:「絶対的な真理を形にしたもの、つまり法身とはいったいどのようなものなのでしょうか?」
雲:「六には収まらないよ。」

雲門和尚はズバリ「六には収まらない」と仰いましたが、意味わかりますでしょうか?

仮にこの話を読み始めた時点でわかったとしても一段下、読み終わってからわかったのでは二段下のランクです。

かといって言葉にこだわっていたのでは、永遠に意味不明。

さぁ、「絶対的な真理の具現化=法身」とはいったいどんなものなのでしょうか?

本当にもののわかった人であれば、私がこんなことを言い始めた時点でサッと席を立っていなくなってしまうところですが、ポカン顔のままなのであれば、もうしばらくは私の話にお付き合い願いましょう。

孚(ふ)上座はかつて仏教講座の講師を務めていました。

ある日、「法身」の解説として「時間的には現在・過去・未来の全時点にわたり、空間的には前後左右上下等の全方角にわたる」と説いたところ、講義を聞いていた僧の一人が失笑するのが目に入りました。

思わずカッとなった孚上座は演壇から飛び降りると、失笑した僧にくってかかりました。

孚:「オマエ今、オレのことを笑っただろう! オレの解説がちゃんちゃら可笑しいというのであれば、オマエかわりに説明してみろや!!」
僧:「いやいや、失礼しました。私はただ、貴方の説明があまりにも表面的過ぎたので思わず笑ってしまったのですよ。」

孚:「じ、じゃあ、どうしたらいい?」
僧:「今日の講義はもうやめにして、一人静かに部屋の中で座って考えてみることですね。そうすれば、きっとおわかりになりますよ。」

孚上座は言われた通りに夜通し自室で座り続けていましたが、午前四時を報せる鐘を聞いてハタと大悟し、転げるように走っていくと「わかった! わかったぞ!!」と叫びながら扉を連打して例の僧を叩き起こしました。

僧:「・・・何がわかったのですか?」
孚:「今日からオレは、二度と生まれつきの顔をいじりまわすようなことはしないよ!!」

―――――つづく

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