あえて説明しなかったこと 1/4話(出典:碧巌録第二八則「涅槃和尚諸聖」)

馬祖和尚の弟子だった涅槃和尚と南泉和尚の会話です。

涅:「歴代の聖人たちが、あえて説明しなかったことはありますかね?」
南:「そりゃあ、あると思いますよ。」

涅:「どんなことでしょう?」
南:「心でもなく、仏でもなく、全ての生きとし生けるものでもないことですよ。」

涅:「・・・説明しちゃいましたね。」
南:「あなたならどうします?」

涅:「私は学者じゃないから、説明するとかしないとかはわかりませんよ。」
南:「私もわかりませんよ!」

涅:「・・・ちょっと説明し過ぎてしまったようですね。」

かつて馬祖和尚は、弟子たちの「仏とはなにか?」という質問に対してこう答えました。

馬:「心、まさにそれこそが仏だ!」

また、同じ質問に対して次のようにも答えました。

馬:「心・・・・・・ じゃない。もちろん、仏でもない!」

南泉和尚の回答はこれをふまえたもので、馬祖門下生としてはベタ中のベタな対応といってよいでしょう。

実は、涅槃和尚は人に会うたびに上記の「歴代の聖人たちが説かなかったことはあるか?」という質問をしていたのですが、誰一人としてまともに答えられる人はいませんでした。
(もし、私がこんな質問をされたなら、涅槃和尚が言い終わる前に耳をふさいでその場から出ていきます)

ただ、南泉和尚だけがこの質問に対して「有る」と言い、それは「心でもなく、仏でもなく、全ての生きとし生けるものでもないこと」だと答えたのですが、これが正解かというと、実は微妙です。

というか、南泉和尚は、頭上に輝く満月に気を取られて持っていた宝珠を落としてしまったのです。

涅槃和尚は「説明してしまったではないか」とツッコミを入れましたが、私だったらその場で南泉和尚を棒で打って、自らの失敗に気づかせてさしあげるところです。

―――――つづく

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