翠巌和尚のマユゲ 2/5話(出典:碧巌録第八則「翠巌夏末示衆」)

昔の師匠たちは皆、弟子たちの指導のため、朝と晩に個別に質問を受けつける時間を設けていました。
特に夏安居(げあんご)と呼ばれる90日間は集中的に講義を行い、弟子たちの個別質問にも答え続ける期間です。

五千巻以上あるお経の集大成「大蔵経」には実に様々な角度から色々な教えが説かれていますが、さんざん教えを説いた挙げ句に「ワシのマユゲは残っているか(私の教えに間違いはなかったか)?」などと弟子に確認するような話はなかったように思います。

果たしてこのエピソードにおける翠巖和尚の発言の真意はどこにあるのでしょうか?

昔の師匠がこのようなことを言い出す時は、決して単に軽口を叩いているのではなく、弟子のためを想って悟りの境地が深化するためのヒントを与えているのです。

ところが今どきの人は今回のエピソードに接すると、「聞かなくても明白にわかることなのに、ワザワザ思わせぶりな言い方をして弟子たちを動揺させようとしている! これは翠巖和尚の心中に夏期講習の内容に対する不安があって、後から批判される前に自分で率先して反省してみせることで予防線を張っているのに違いない!!」などと見当外れなことを言い出す始末・・・

もし翠巖和尚がそんなレベルの人物であれば、なんの役にも立たないどころか単なるインチキ野郎だということになってしまいます。

まぁ、今どきの人は「マユゲ」という単語がでてきたらそれをそのまま受け取ってしまって、そこから一歩も動かないのが基本ですので、仕方がないと言ってしまえばそれまでですが。

その点、保福、長慶、雲門の三人の弟子たちはそれぞれに見事に翠巖和尚とやりあいました。

ここで彼らが本気を出したのは、翠巖和尚の問いかけが飛び抜けて素晴らしいものだったからなのです。

―――――つづく

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