雪竇和尚は「翠巌和尚の問いかけに答えられる者は千年間は出現しない」と言いましたが、翠巌和尚はただ「ワシのマユゲは残っているか?」と言っただけです。
いったいそれの何がそれほど難しくて「答えられるものは千年間は出現しない」のでしょうか?
先にも申し上げましたが、昔の師匠は意味のない軽口を叩くようなことは決してしないものですので、聞いている側もそのつもりで聞かなければなりません。
雪竇和尚もまた、翠巌和尚と同じように弟子のためを想って悟りの境地が深化するためのヒントを与えてくれているのであって、その点においては臨済和尚の喝や徳山和尚の棒にも勝ります。
さて、「千年間は出現しない」のどこに雪竇和尚の思いやりがあるのでしょうか?
また「「閉店、ガラガラ!」と言われて散々な目にあってしまった」というのはいったいどういうことでしょうか?
「散々な目にあってしまった」のは私が言うように雪竇和尚でしょうか? それとも翠巌和尚でしょうか? はたまた雲門和尚でしょうか?
見事にこの謎を解き、雲門和尚が閉めたシャッターを突き破ることができたなら、私はあなたが立派な見識をお持ちだということを認めましょう。
雪竇和尚はまた「保福和尚は最年長の弟子らしく、褒めたのか貶したのかよくわからない」と言いましたが、これはつまり自分を貶して翠巌和尚を褒めたということでしょうか?
もしそうなのであれば、保福和尚は自分のどこを貶し、翠巌和尚のどこを褒めたのでしょうか?
「翠巌和尚はおしゃべり泥棒」と言いますが、翠巌和尚はいったい何を盗んだというのでしょうか?
最後に雪竇和尚は「長慶和尚は翠巌和尚の芸風をよく理解していたので、「和尚のマユゲは今生え揃った」と答えることができた」と言っています。
さて、それではいったいどこに生えたというのでしょうか?
賢明なる読者の皆さん、ズバリひと言でお答えくださいませ。
<翠巌和尚のマユゲ 完>
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