徳山和尚と潙山和尚 2/5話(出典:碧巌録第四則「徳山挟複子」)

屋台のお婆さんに言われたとおりに龍潭和尚のお寺までやってきた徳山和尚でしたが、門を入るなり大声で呼ばわりました。

「この辺りに龍潭(ドラゴンの潜む深い淵)があるという噂を聞いてやってきてみたけれども、どこにも淵なんてないしドラゴンも出てこない。こりゃいったい、どういうことかな!?」

それを聞いた龍潭和尚は、屏風の後ろに姿を隠したまま返事をしました。

「淵もドラゴンもオマエさん次第じゃ! オマエにとっての龍潭はここではないのかな?」

それを聞いた徳山和尚は一礼して退出したのですが、しばらくすると戻ってきて今度は龍潭和尚の部屋に入り込み、夜になっても出ていこうとしません。

龍潭和尚が帰るように促すと徳山和尚は渋々腰をあげて部屋を出ましたが、外がすっかり日が暮れて真っ暗になっているのを見ると戻ってきて「外は真っ暗です。」と言いました。

龍潭和尚はロウソクに火をつけて徳山和尚に渡してあげましたが、徳山和尚が受け取るなり吹き消してしまいました。

それを見た瞬間、徳山和尚は一切の迷いが晴れて、深々と龍潭和尚に礼拝しました。

龍:「・・・いったいなんの礼拝かな?」
徳:「私はもう二度と疑いませんし、迷いもありません!!」

翌日、龍潭和尚は弟子たちに向かって言いました。

「もしも歯が剣山のように生えた口を大きく開け、いくら棒でぶっ叩いてもビクともしないようなヤツがいたとしたら、ソイツはそのうちソイツなりのやりかたで天下に知られるようになるだろう。」

それを聞いていた徳山和尚はお堂の前に自作の金剛経解説書を積み上げると、松明で焼き払いながら言いました。

「どれだけ難解な概念に通達してたくさんの言葉を使いこなせたところで、羽毛を一本空中に放り上げたようなものだし、たとえこの世の真理を極め尽くしたところで、深い谷底めがけて水を一滴たらしたようなものなのだ!!」

―――――つづく

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