三斤の麻布 2/3話(出典:碧巌録第十二則「洞山麻三斤」)

今回のエピソードに対して雪竇和尚が詠んだポエムを見てみましょう。

三本足のカラスが翔び去れば、杵を担いだウサギが駆け抜ける。
達人の対応には寸分の狂いもない。
足の悪いスッポンや目が見えないカメは、何もない谷間から出られない。
咲き誇る花が織りなす錦。南の竹と北の木。
長慶さんと陸亘(りくこう)さんのやりとりを思い出すなぁ。
「泣くところじゃなくて笑うところ」はケッサクだった。
オラっ!!

三本足のカラスとは太陽のことで、杵とウサギとくれば月のこと。
陽が落ちれば月が昇る。毎日のことですね。
雪竇和尚は洞山和尚の真意を見抜いたのでこのような表現をされたわけです。

これも大概の人は言葉にとらわれてしまって、「太陽のカラスが左眼で、月のウサギが右眼だ!」とか、思いっきり眼をむいて「ここに在るぞ!!」などと言いますが、呆れるほどの見当違いです。

洞山和尚は僧の質問に対して軽々しく答えることなく、鐘の音が谷にコダマするように答えました。

これに関して雪竇和尚は次のようにコメントしています。

達人はごちゃごちゃせずに真っ向から回答するものだ。
素人でも龍とヘビの区別ぐらいつくわけで、禅僧は特に騙しにくい。
伝説のゴールデンハンマーが振り下ろされる時の影の動き、宝剣の放つ凄まじい光。
決して見落とすなよ、いきなり来るぞ!!

洞山和尚が雲門和尚に弟子入りした時、雲門和尚は尋ねました。

雲:「どこから来たの?」
洞:「江西の船着き場からやってきました。」

雲:「夏場はどうしていたのかな?」
洞:「湖南のお寺で過ごしていました。」

雲:「そこを離れたのは?」
洞:「八月二十五日だったと思います。」

雲:「・・・本来なら棒叩き三回の罰だが勘弁してやる。僧堂に行きなさい。」

何が何やらチンプンカンプンだった洞山和尚は、夕方になると戻ってきて雲門和尚に尋ねました。

洞:「先程の件ですが、私、何か悪いことをしましたでしょうか?」
雲:「アホかオマエは! さては江西でも湖南でもその調子だったな!?」

それを聞いた洞山和尚はガーンと大悟しました。

洞:「私は将来、人里離れた場所に庵を結んで一切の生産活動をせず、行脚する僧たちの接待に専念したいと思います。彼らに刺さったクギや楔を抜いてやり、垢だらけの帽子や汗臭い服を脱がせてキレイさっぱりとした状態に戻してやるのです!」
雲:「身体はヤシの実ぐらいしかないくせに、大きな口を叩きおって!(苦笑)」

この時の洞山和尚の悟りは決して口先だけのものではなく、その後、実際に大勢の弟子たちを育てることになったのです。

―――――つづく

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