巌頭和尚と天下の名剣 2/2話(出典:碧巌録第六十六則「巌頭什麼処来」)

巌頭和尚は高笑いしたということですが、この笑いの中にある毒に気づくことができるなら天下無敵。どんなところでも胸を張って歩きまわることができるでしょう。

この僧もその時点で気づけばよかったのですが、すれ違ってしまったまま永遠にネタにされるハメになりました。

雪峰和尚は巌頭和尚の弟分でしたので巌頭和尚が何を考えているかよくわかっていたハズですが、やはりこの僧に口では説明せずに棒で叩いて追い出してしまいました。

自分で気づくのでなければ身につかないことをよく知っていたからですね。

本当にもののわかった師匠というものは、ある時は抑え込み、ある時はほったらかして、行き詰まった弟子を助けるものです。

さて賢明なる読者の皆さん、貴方ならどうやって巌頭和尚に笑われたり雪峰和尚に棒で叩かれたりすることを回避しますか?

投子和尚が巌頭和尚のマネをして「オマエさんも黄巣のように天から名剣を得たか?」と修行僧に尋ねたところ、その僧は黙って地面を指さしました。

それを見た投子和尚は「三十年も馬に乗ってきたというのに、こにきてロバに蹴られるとはな!(笑)」と言ったとか。

「得た」とも「得ない」とも言わないこの僧は、なかなかのやり手です。長安から来た僧とは大違いですね。

雪竇和尚は今回のエピソードについて、次のようなポエムを詠みました。

黄巣の乱の後に名剣を手に入れた!
笑いの意味も、やり手ならお見通し。
三十発で済んで助かったね。
やったんじゃなくてやられたんだよ!

雪竇和尚はこの僧が巌頭和尚に笑われたことをポエムにしましたが、貴方は巌頭和尚がいったい何を笑ったのかおわかりになりますでしょうか?

この笑いの中には方便と真実、観察と行動、活かすと殺すがあるのです。

雪峰和尚が三十回棒で叩いたのは、彼らのお約束に則ったものなのですが、はてさていったい何故そういうことになるのでしょうか?

・・・どうやら私も、「やった」つもりが「やられてしまった」ようですね。(苦笑)

<巌頭和尚と天下の名剣 完>


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