大龍和尚の不滅の真実 2/2話(出典:碧巌録第八十二則「大龍堅固法身」)

今回のエピソードについて、雪竇和尚は次のようなポエムを詠みました。

質問の仕方も知らないし、答えを聞いてもわからない。
月は冷たく風は高鳴り、岩壁に樹々も凍りつく。
とんだお笑い草だ!
確かに「その道の達人と出会った時は、言葉も沈黙も使わない」とは言ったが・・・
至高の宝玉など天然パワーのムチで叩き壊してくれよう!
キズがつくのを防ぐにはそれが何より一番だ。
このままでは三千の罰則に触れてしまうぞ!

雪竇和尚は根っからのポエマーでしたので、ポエムにはとにかく手間暇をかけておられました。

かつて雲門和尚の言葉について「問いでも答えでも相手を探っている」と評した雪竇和尚ですが、ここでは逆に「問いの発し方も答えの受けとめ方もダメダメだ」と言っています。

まぁ、この手の質問は誰がやっても失敗するに決まっているものなのですが、大龍和尚は高い見地から見事に答えてみせました。

さて、賢明なる読者の皆さん、「山に咲く花は敷き詰めた錦、谷あいの湖は青々と水をたたえている」とはいったい何のことでしょうか?

大龍和尚のこの言葉は自然の美しさを讃えているようですが、雪竇和尚は「月は冷たく風は高鳴り、岩壁に樹々も凍りつく」と自然の厳しい側面に言及しています。

そしてさらに言葉ヅラで理解されることを恐れて「その道の達人と出会った時は、言葉も沈黙も使わない」という言葉を持ち出しました。

これは香厳和尚の言葉を引用したものなのですが、かつてとある僧が趙州和尚に「言葉も沈黙も使わないのであれば、いったいどうやってコミュニケーションを取るのですか?」と訪ねたところ、趙州和尚は「一切の光を反射しない器を差し出すのさ。」と答えたとか。

また、「至高の宝玉を天然パワーのムチで叩き壊す」と言うのですが、それができて初めて仏法にかない、天下がおさまるのです。

歴代の師匠たちに恥をかかさない方法は他にはありません。
「キズがつくのを防ぐにはそれが何より一番」というのはそういうことです。

我が国では罪の種類・程度によって三千種の刑罰が定められているのですが、冒頭のような質問をしているようでは、それら全てを受けるハメになるという・・・

なんでまたそんなことになるのでしょうか?

それは貴方が本当にベストを尽くそうとしていないからなのです。

え? 「私はベストを尽くしている!」ですって?

失礼しました。それでは貴方は大龍和尚とおんなじですね。(笑)

<大龍和尚の不滅の真実 完>


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