碧巌録の元ネタとなった雪竇和尚の「ポエム百選(雪竇頌古)」は、究極の真理を悟るために禅を学ぶ者たちにとって、まさに「必修のテキスト」です。
仏教における様々な経典や論考を踏まえているだけではなく、儒教からもたくさんの事例を引用し、「究極の真理とは何か?」というテーマに鋭く切り込んでいるのですから。
とはいえ、そのポエムの数々はシュール極まりないものばかりであって正直なところ取っつきにくく、充分に物事を理解している師匠による手ほどきを受けなければまるでチンプンカンプンなシロモノ・・・
あまりの難解さに耐えかねて、私は仲間とともに当時成都に滞在中だった圜悟和尚のもとを訪れては何度も解説をお願いしたものです。
圜悟和尚はその後夾山(かっさん)や道林で住職を務められましたが、そこでも解説を求める人たちが後を絶たず、結局三度にわたって「ポエム百選」の講義をされました。
それを受講した弟子たちがメモを持ち寄って講義ノートを作ったのはもう二十年も前のことになります。(圜悟和尚は弟子たちがそのようなものを作っていることについて特に何も仰いませんでした)
それから年月が経ち、たくさんの人たちの手を経る間にテキストが混乱が生じて来ました。
そこで、このたび現存する講義ノートを整理して「碧巌録」として出版することになった次第なのですが、この本を手にした皆さんにひとつお願いがあります。
もしも貴方がこの本を読んで、「意味がわからん!」とか「オレが聞いたのと違う!」などと言って内容を勝手に改変してしまうならば、この本の生命はそこで断たれてしまうということだけは肝に銘じておいてくださいませ。
宣和七年(1125年)春 解県の関友無党 これを記す
<関友無党による後書き(1125年) 完>
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