上座:「そうだな、例えばこんな感じかな。
「いいかお前ら! 赤い肉塊の上に、「無位真人(一切の規範から解き放たれた完全なる自由人)」というものが存在するんだ。そしてそいつは今この瞬間もお前らの顔面を出たり入ったりしているんだぜ!! わかるかな?」とか。
で、弟子の一人が進み出て、「ちょっといいですか?その「無位真人」って、いったい何者でしょうか?」とたずねたとするだろ?
和尚はそいつに飛びかかって首を絞めながら言うわけよ。
「さぁ、何か言ってみろ!オラオラオラ!!」ってね。
弟子が答えられずにいると、そいつを突き放して「無位真人って何者かだって?乾いた一本グソとでも言っておこうか!」とかなんとか言って自分の部屋に帰っちまうんだ。」
それを聞いた巖頭氏は、すっかり畏れ入って返す言葉もありませんでしたが、最若手の欽山くんは、よせばいいのに定上座に突っ込みました。
欽山:「そりゃ、無位真人とはいいませんね。」
それを聞いた定上坐、欽山の胸元を引っつかむと、目をむいてどやしつけました。
上座:「無位真人と無位真人でないもの、その間にいったいどれほどの差があるというんだ?! 答えてみろ、オラオラオラ!!」
欽山くんは返答に窮しました。
その上、定上座に首を絞められたままなので、顔色がどんどん青ざめていきます。
巖頭・雪峰の2人はアセって定上坐に懇願しました。
「うわーっ!すみません! 若い者がすっかり無礼を働いたようです。こいつは出来が悪くて、まだ物事の善悪の区別がつかないのです。お願いです。どうかカンベンしてください!!」
定上座はいいました。
「フン!このションベンたれめ! 本来ならこの場でぶっ殺すところだが、今日はお前ら2人に免じてカンベンしてやらぁ!!」
―――――つづく