米びつの隅に残ったコメの粉のように細かく、氷のように冷たい。
天地の間を埋め尽くし、明るいとか暗いとかを超越している。
高さを測ろうとしてもテッペンは見えず、低さを測ろうとしても底が見えない。
・・・さて、いったいこれは何の話でしょうか?
押さえ込んだり好き放題させたり、これってまるで師匠が弟子を鍛える時のやり方みたいですよね。
それはさておき、丹霞(たんか)和尚と寺を訪れた僧侶の会話は以下のとおりです。
丹「おいアンタ、いったいどこから来たんだい?」
僧「いや、山の麓から来たんですけど?」
丹「メシは喰ったか?」
僧「ゴハンですか? ええ、さっき食べ終わりましたけど、それが何か?」
丹「オマエにメシを喰わせたヤツに眼はついていたか?」
僧「???」
なんというか、わけのわからない会話ですが、これはいったい何の話なのでしょうね?
丹霞和尚の人のワルさだけが際立つエピソードですが、私なら最後の質問には「ええ、和尚と同じヤツがついていましたとも!」とでも答えるところです。
和尚が亡くなってかなり経ってから、弟子筋の長慶和尚と保福和尚が、このエピソードについてこんな会話をしています。
長「メシを喰わせてくれたんだから、いい人なんだよね? なのに、なんでまた眼がないとかいうんだろうか?」
保「喰わせる方も喰わせてもらう方も、どちらも見えているとは思えんなぁ。」
長「いや、どちらも一所懸命やっていると思うんだけど、それでも見えていないというのかい?」
保「それじゃあナニかい、オレには見えていないっていうのかい!」
・・・なんでしょうね? このグダグダ感は。
私なら「どちらも一所懸命やっていると思うんだけど、それでも見えていないというのかい?」とか言われた時点で「このメクラめ!」と言ってやるところですけどね。
―――――つづく
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