ティーセレモニー 2/4話(出典:碧巌録第四十八則「王大傳煎茶」)

鋳掛けを生業としていた隠者の胡さんと、臨済和尚の弟子筋の宝寿和尚の会話を紹介しましょう。

寿:「「鋳掛屋の胡」というのはオマエさんのことかね?」
胡:「ああ、いかにもオレが「「鋳掛屋の胡」だ。」

寿:「オマエさん、たいそう腕の良い鋳掛屋だそうだが、「虚空」を鋳かけることはできるかね?」
胡:「もちろんさ。ただし、和尚が「虚空」を打ち割ることができたならね!」

ここで宝寿和尚は胡さんを棒で引っ叩いたのですが、胡さんは全く納得がいきません。

胡さんが不満そうな顔をしているのを見た宝寿和尚は言いました。

「わからんか? ・・・まぁ、そのうちおしゃべりな坊主が現れて、オマエさんのために「虚空」を打ち割ってくれることだろうよ。」

胡さんは趙州和尚のところに行って宝寿和尚に叩かれた話をしました。

州:「なんで叩かれたかわかるかい?」
胡:「いや、もうわけがわかりません・・・ 私は全く悪くないと思うのですが・・・」
州:「おい! その程度のヒビ割れすら鋳かけられない腕前で、よくもまぁ宝寿和尚に「虚空を打ち割れ」なんて言えたもんだな。」

胡さんが首をかしげているのを見た趙州和尚は言いました。

「まずはそのヒビ割れを鋳かけてみせろ! 話はそれからだ。」

それを聞いた胡さん、ようやく悟るところがあったとか。

―――――つづく

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