塔のデザイン 1/6話 (出典:碧巌録第十八則「粛宗請塔様」)

粛宗皇帝は、師と仰ぐ忠国師の危篤の報せにとるものもとりあえず駆けつけました。

粛:「お師匠様、貴方が亡くなった時には後世に残るような立派な塔を建立し、盛大な葬儀を行いたいと考えております。つきましては予めどのようなデザインの塔がお好みかお聞かせいただけると助かるのですが。」
忠:「おお、ワシなんぞのためにすまんのぅ。それではお言葉に甘えさせていただこうかな。塔は一切の継ぎ目がないデザインでお願いしたい。」

粛:「・・・いや、その「継ぎ目がない塔」をどのようなデザインにすればよいのかお聞きしたいのですが。」

忠国師はそれを聞くとしばらく黙ったままでいましたが、おもむろに口を開くと言いました。

忠:「どうじゃ、おわかりかな?」
粛:「・・・いえ、サッパリわかりません。」
忠:「なんじゃ、仕方のないヤツめ(笑)。ワシの弟子に耽源(たんげん)という者がおるから、必要なら呼んで尋ねてみるがよいぞ。」

しばらくして忠国師が亡くなったため、皇帝は国師の遺言に従って耽源和尚を呼び出して尋ねました。※()内は、この話を教えてくれた私の師匠の雪竇和尚によるツッコミです。

粛:「以前国師に供養塔のデザインをどうすべきか尋ねたのだが、師匠は黙っているばかりで具体的なご指示をくださらなかった。弟子のオマエに聞けばわかるとのことだったので呼び出した次第なのだが、さぁ、塔のデザインをどうしたらよいか教えてくれ!」

源:「湖の南、河の北。」
粛:「?」
(それみたことか! 片手で音を出すのはムズカシイんだよ!)

源:「その間には大量の黄金があって国中に満ちています。」
粛:「??」
(そんなにたくさん要らないと思うがね。ワシはこの杖一本で充分じゃ!)

源:「影を落とすことのない世界樹の下には巨大な乗り合い船があります。」
粛:「???」
(海は穏やか、大河は澄んでいるよね。)

源:「そこには透明なクリスタルでできた御殿が建っているのですが、どうやら貴方の知り合いは一人もいないようですね。」
粛:「・・・・・」
(・・・おっと! それを言っちゃあオシマイだよ。w
それに、忠国師や耽源和尚に質問したのは、粛宗皇帝じゃなくて息子の代宗皇帝だ。なに間違えてんの!www)

―――――つづく

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