塔のデザイン 3/6話 (出典:碧巌録第十八則「粛宗請塔様」)

忠国師は玄宗、粛宗、代宗の三代に渡って国師を勤めました。

で、いよいよ危篤になった時「どのようなデザインの塔がお好みか?」という代宗皇帝からの至極ありふれた質問に対し、「つなぎめのない塔がいい」などと答えましたが、これこそ「風のないところに波を起こす」というヤツです。普通の塔を作ってもらえばそれでよいものを、国師はなぜまたこんなひねくれたことを言ったのでしょうか?

代宗はすかさず「もう少し具体的にお願いします」的なトボケたツッコミを入れたのですが、国師はしばらく沈黙した後で「わかるか?」などとさらなる大ボケをかましました。(これって、ひょっとしたら皇帝のツッコミにぐうの音もでなかっただけなのではw)

多くの人が「いや、言葉にできないところが即ち国師の希望する塔のデザインなんだよ」などと言いますが、もしこれがそのレベルのことなのだとしたら、達磨大師が開いた一宗派はもう終わりです。

「それじゃ、沈黙そのものがデザイン?」などと言う人もいそうですが、もしそうであれば口のきけない人は皆、禅の達人ということになりますね。(笑)

そういえば、外道が「言葉で言い表せることはお尋ねしません。また、言葉で言い表せないこともお尋ねしません。」と質問したところ、ブッダはただ黙って座っているだけだったので大喜びして帰っていったという話がありましたっけ。

で、それを見たアーナンダがブッダに「なんですか? 今のは??」と尋ねたという次第なのですが、これも大概の人は「沈黙した」という部分にひっかかってしまって、真の意味を知ろうとしません。

法演和尚はかつてこんなことを言いましたっけ。

「前面には瑪瑙や貴重な宝石が、後面には貴重な宝石や瑪瑙があって、東には観音菩薩や勢至菩薩が、西には文殊菩薩や普賢菩薩がいる。で、その真ん中には旗が立っていて、風に吹かれてコロコロと鳴っているのだ。」

国師は「わかるか?」と言い、皇帝は「わかりません」と言いましたが、この「わかりません」と、かつて達磨大師が梁の武帝に言った「しらねえよ!」とは同じでしょうか? それとも違うものでしょうか?

似てはいますが、もうひとつしっくりこないところですね。

―――――つづく

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