塔のデザイン 4/6話 (出典:碧巌録第十八則「粛宗請塔様」)

国師は「ワシの弟子の耽源が詳しいから必要なら呼んで尋ねてみろ」と言いましたが、代宗皇帝はともかく、耽源和尚は本当に答えを知っていたのでしょうか?

中国における第五代仏教伝承者の弘忍和尚はかつてこうおっしゃいました。

「アイツめ、国家を挙げて師と仰がれておりながら質問には自分では回答しないで弟子に押し付けるとは!!」

皇帝に呼ばれた耽源和尚はといえば、「湖の南、河の北には大量の黄金があって国中に満ちており、影を落とすことのない世界樹の下に巨大な乗り合い船がある。そこに建っているクリスタルの御殿にオマエの知り合いは一人もいない。」などとわけのわからないことを言うばかり・・・

耽源和尚が忠国師のところで侍者を務めている時に仰山和尚が修行にやってきたことがあるのですが、あまりにも耽源和尚が口下手で荒っぽくてとっつきにくい人物であったので、たまりかねて性空和尚のところに避難しました。

そこでたまたま耳にしたのが、修行僧と性空和尚の以下のような問答です。

僧:「ズバリお尋ねします。仏教はいったい何のためにあるのでしょうか?」
空:「深さ300mの井戸に落っこちた人をヒモなどの道具を使わずに救い出せるようになったら教えてやるよ!」

僧:「・・・湖南の方の師匠たちは懇切丁寧に教えてくれたものなんですが。」
空:「おいオマエたち! このゾンビ野郎をつまみ出せ!!」

その後耽源和尚のところに戻った仰山和尚がこのエピソードを話し、「深さ300mの井戸に落ちた人を道具なしで救い出すことなんてできるのでしょうかね?」と言ったところ、耽源和尚に「バカモノ! 井戸に落ちているのが誰かもわからんのか!!」と怒鳴りつけられました。

今度はこの話を潙山(いさん)和尚にしたところ、潙山和尚は「おい、仰山くん!」と呼びかけてきました。

仰山和尚が「ハイ、なんでしょうか?」と答えたところ、潙山和尚は言いました。
「井戸から救出完了!!」

これを聞いた仰山和尚はガビーンと悟りを得てこう叫びました。
「私は耽源和尚のところで得た身体の使い方を、ここでやっと理解しました!」

―――――つづく

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