塔のデザイン 6/6話 (出典:碧巌録第十八則「粛宗請塔様」)

雪竇和尚はこのエピソードに対し、次のようなポエムを詠みました。

巨大な龍が透明な湖に隠れられないように、「継ぎ目がない塔」を肉眼で見ることはなかなか難しい。
それは継ぎ目と継ぎ目の間隔がとっても高く、千年万年の昔から、柔らかな光を発しながら私たちの目の前にそびえ立っているのだがなぁ・・・

和尚は「肉眼で見ることは難しい」と言いますが、確かに何の作為もなく自然体で目の前に建っているものは、意外と目に入らなかったりするものです。

さらに和尚は「巨大な龍が透明な湖に隠れられない」と言いましたが、これはアナタ方のために親切心で言ってくれているのです。

そういえば、法演和尚は「雪竇くんの文才にはいつも感心させられておるのじゃが、特にこの「巨大な龍が透明な湖に隠れられない」というのがワシのお気に入りじゃ!!」とよく言っておられましたっけ。

多くの人が国師が沈黙したところばかりに気を取られてあれこれ取り沙汰していますが、そんなことでは真実は遠くなるばかりです。

龍は静まり返った湖面には姿を現さないといいます。つまり、月がきれいに映るほどの湖に龍はいないのです。よく言うではありませんか。「水清ければ魚棲まず」と。

逆に、龍の潜む湖は風もないのに表面がいつもさざ波たっているそうな。

そして、ものごとの真実をちゃんと理解している人は、波が空に届きそうなほど荒れ狂う時に決して湖の底に隠れたままだったりしません。

最後に読者の貴方に尋ねましょう。

雪竇和尚は「一切の継ぎ目がない塔は、継ぎ目と継ぎ目の間隔がとっても高く、千年万年の昔から、柔らかな光を発しながら私たちの目の前にそびえ立っている」などと主張していますが、貴方にはそれがちゃんと見えていますか?

え? 「そんなもの、もちろん見えているさ!」ですって?

お願いですから、手段と目的を取り違えないようにしてくださいね。(苦笑)

<塔のデザイン 完>

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