金魚のエサ 1/3話(出典:碧巌録第四十九則「三聖以何為食」)

最前線で大暴れして相手の包囲網を徹底的にぶち破るだけでなく、指揮命令系統を乗っ取ってしまう。
そのうえ自分は百重千重に全方位型警戒システムを張り巡らせた防衛線を構築する。

人喰い虎の首にまたがってシッポをひっつかむなんて朝飯前で、地獄の獄卒たちをアゴでこき使うレベルすら超えている。

さて、私はいったい、どんな超人の話をしているのでしょうか?

三聖慧然(えねん)和尚は、ケンカ上等の激しい芸風で有名な、あの臨済和尚の後継者です。

雪峰和尚は常時1500人、多い時で1700人もの弟子を抱える売れっ子師匠でしたが、あるとき、猿の群れを指さして言いました。

「皆それぞれの背中に古い鏡を背負っているぞ!」

ちょうどその時ケンカを売りに来ていた三聖和尚は、すかさずツッコミます。

三聖:「この世のあらゆる存在は形容不能のハズ。いまさら古い鏡なんか持ち出して、いったいナニを映すつもりなんですか!?」
雪峰:「・・・ヒビ割れちまったな。」

三聖:「へっ! 1500人も弟子がいる大先生のくせに、まともに問答もできねぇのかよ!!」
雪峰:「ワシは忙しくてな、それどころじゃないんじゃ!」

三聖和尚はさらにたたみ掛けました。

三聖:「それじゃあお尋ねしますが、もしも、金のウロコをもち、厳重に仕掛けられた網を抜け出してくるような魚がいたとしたなら、そいつにふさわしいエサって、いったいどんなものでしょうね?」
雪峰:「抜け出してこられたら教えてやるよ。」

三聖:「へっ! 1500人も弟子がいる大先生のくせに、まともに問答もできねぇのかよ!!」
雪峰:「ワシは忙しくてな、それどころじゃないんじゃ!」

・・・なんとまぁ、激しいバトルでしょうか!(笑)

互いに一歩も譲らず、なかなか決着がつかないようですが、賢明なる読者の皆さんは、この二人がいったい何の話をしているのか当然わかっておられますよね?

―――――つづく

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