金魚のエサ 2/3話(出典:碧巌録第四十九則「三聖以何為食」)

三聖和尚は臨済和尚の奥義を受け継いでからというもの、著名な和尚をターゲットにした道場破りを繰り返していたのですが、行く先々で丁重な扱いを受けたそうです。
確かにいきなり「網を抜け出した金魚のエサには何がいいか?」などと質問してくるような危険人物ですから、なるべく刺激しないようにして、丁重にお引き取り願いたいところですよね。w
 
さて、「網を抜け出した金魚」といったところで魚は魚です。
他の魚とそんなに食べ物が違うとも思えないのですが、この人はいったい何を言っているのでしょうか?
 
普通の人がこんなわけのわからないことを言われたら返答に窮して絶句するしかありませんが、そこは流石の雪峰和尚、「そういう質問は抜け出してきてからしろ!」とサラリと受け流しました。
 
通常、こんな塩対応をされたら泣きながら帰ってしまうところですが、そこはケンカ上等の臨済禅の後継者です。
「お話にならんわ!!」とぶった切り、雪峰和尚は「ワシは忙しいんじゃ!!」と突き放す。
 
さて、ここで読者の皆さんにお尋ねしますが、まさかアナタ、この問答に勝ち負けがあるのではないかなどと思ってはいないでしょうね?
もしそうなら、アナタはここまで目を通しながら何も読んでいないのと同じです。
 
私に言わせればこんなもの、始めこそ二人とも鋭く斬り合っていますが、後半はもうグダグダです。
 
以下は、臨済和尚が臨終の際の会話です。
(この時、三聖和尚は事実上のナンバー2である「寺務」総長の座についていました)
 
臨済:「ワシがいなくなっても、ワシが伝えた仏教の神髄をしっかりと守っていってくれよ・・・」
三聖:「そこら辺はどうぞ、ご心配なく!!」
 
臨済:「ホウ、そこら辺につき、いったいどう説明してゆくつもりなんじゃ?」
三聖:「喝っ!!!」
 
臨済:「・・・ワシが伝えた仏教の神髄は、どうやらボンクラ野郎のところで滅んでしまうようじゃな。」
三聖: (-人-)(礼拝)
 
読者の皆さんにはおわかりでしょうか?
この「親子」のような息の合ったやりとりを。(笑)

―――――つづく

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